東京都知事選初の選挙サンデー 小池百合子氏は「川上作戦」、蓮舫氏は立民・共産色濃く

東京都知事選(7月7日投開票)で、候補者ごとの戦術の違いがはっきりしてきた。初の選挙サンデーとなった23日、3選を目指す無所属現職の小池百合子氏(71)は有権者の少ない地域から攻める「川上作戦」を敢行。無所属新人の蓮舫氏(56)は立憲民主・共産両党の国会議員と都心で街頭に立ち、党派色を強く打ち出した。

小池氏はこの日午後、公務で奥多摩町のダムを視察した後、同町内で街頭演説。「(奥多摩町を)元気な街として、日本中にもっと知らしめていく」と呼びかけた。

22日に八丈島を訪れたのを皮切りに、小池氏が進めるのは有権者の少ない地域から選挙戦に入る「川上作戦」。終盤にかけて有権者の多い都市部に繰り出し選挙戦を盛り上げていく戦術で、故田中角栄氏が得意とした。

また、告示前から現職として「公務優先」を明言している小池氏。公務に邁進する姿をアピールし、小池都政継続の必要性を印象付ける狙いがあるとみられる。陣営は公務の合間に街頭演説やタウンミーティングを重ねる方針だ。党派色を薄めてはいるが、水面下で支援を受ける自民・公明両党の関係者と連携し、票固めにも注力する。

無所属、オール東京を強調する蓮舫氏は連日、立民国会議員と都心を中心に街頭に立つ。選挙スタッフにも立民都議の姿が多い。4月の衆院3補選全勝の勢いをつなげようとしているのか、国政の構図を絡めながら支援を訴える。

蓮舫氏は23日、墨田区のJR錦糸町駅前で行った街頭演説で、自民の萩生田光一衆院議員を名指ししながら、自民派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を批判。その後、自民の支援を受ける小池氏の名前を初めて出し「自民と一緒になって都知事を目指す人に私は絶対に勝ちたい」と呼びかけた。共産との共闘関係も特徴だ。駆け付けた共産の吉良佳子参院議員が「何としても蓮舫都知事を誕生させよう。裏金政治、小池都政を終わらせる」と意気込んだ。

無所属新人で前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)は、都心を小まめに移動しながら演説と練り歩きを繰り返す。港区の麻布十番商店街で行った23日の街頭演説では「これからの日本に大切なのは経済。経済強国を目指す」とした。市長時代から得意とするインターネットでの発信にも力を入れる。

「本当の意味での保守候補がいない」と出馬を決意した無所属新人で元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)は、公約や街頭演説も保守層を意識した内容が多い。「自虐史観教育の修正、教科書採択の適正化」「道徳教育の強化」などを訴える。23日は武蔵野市のJR吉祥寺駅前などで街頭活動を行った。


ジャンルで探す