第三者機関、課題多く=政治資金監査、権限・体制が焦点―規正法改正、自公がたたき台

石破茂首相が年内の実現を目指す政治資金規正法の再改正で、自民、公明両党のたたき台が出そろった。政治資金を監査する第三者機関や、政策活動費の見直しが論点だが、方向性に違いも見られる。臨時国会召集を28日に控え、自公は政治献金の見直しなども含めて調整を急ぐ方針だ。
自民の政治改革本部は15日の作業部会で、再改正に向けた取りまとめ案を提示。第三者機関については「国会に置くことを基本」としつつ、独立性の高い行政機関としての位置付けも検討する方針を示した。
一方、公明はこの日発表した要綱案で、国家行政組織法に基づく「3条委員会」として強い独立性を与える「政治資金監督委員会」を設置し、国会議員関係政治団体の収支報告書に関する立ち入り調査、訂正の権限を持たせるとした。調査の拒否や訂正の違反に対する罰則も設ける。
公明案は、委員会は5人で構成し、事務局体制は「必要十分なもの」との表現にとどまった。自民案は組織の具体像に触れていない。衆院465人、参院248人の政治資金をチェックするには一定の組織規模を備える必要がある。今後の協議で焦点となりそうだ。
政党が議員に支出する政策活動費の扱いに関し、自民案は「廃止」と「存置」の2パターンを設け、廃止した場合も外交上の秘密に関わる支出などは「公表方法を工夫する」とした。公明案は「法律上廃止する」と明記した。
このほか自民案は、党所属国会議員が公民権停止の対象となる政治資金、選挙関連の事件で起訴された場合、政党交付金の一部を交付停止とする方針を盛り込んだ。
自民は政党などへの個人献金を促すため、税額控除率を今の30%から40%に拡大する方向性を提唱。企業・団体献金に関し、年間上限額の引き下げ案なども党内にあるが、15日に示された案では「政治的判断を要する」と位置付け、見直しに慎重な姿勢をにじませた。
また、派閥裏金事件の信頼回復に向け、「政治資金収支報告書の不記載の(2倍)相当額」を、東日本大震災と能登半島地震の被災地に党から寄付すると記した。不記載の「裏金」総額は約7億円で、2倍は約14億円になる。


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