「刑事責任は相当重い」 量刑理由に呼吸は荒く… “頂き女子りりちゃん”に懲役9年 罰金800万円の判決 

男性3人からあわせて1億5500万円以上をだまし取った罪などに問われている「頂き女子りりちゃん」を名乗る女。名古屋地裁は4月22日、懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡しました。

22日午後、名古屋地裁にできた長い列。

CBC

(森本琴衣記者)
「『頂き女子りりちゃん』の判決を聞こうと、傍聴券を求めて多くの人が並んでいます」

81席の一般傍聴席に対し、4倍近い313人が並びました。

22日、法廷に現れた「頂き女子りりちゃん」こと渡邊真衣被告(25)は、髪を結び、透明なフレームの眼鏡をかけ、黒い半袖シャツ姿。落ち着いた様子で裁判に臨みました。

画:三影祐水

画:三影祐水

(YouTubeより)
「魔法少女りりちゃん!」

起訴状などによりますと、住居不定・無職の渡邊真衣被告は、2021年3月から去年8月にかけ、マッチングアプリや当時勤務していた風俗店で知り合った50代の男性3人から現金あわせて1億5500万円以上をだまし取った詐欺の罪と、男性から金をだまし取るための「頂き女子」マニュアルを販売するなどした詐欺幇助の罪、約4000万円を脱税した罪に問われています。

これまでの裁判で渡邊被告は、全ての罪について起訴内容を認めていました。

YouTubeより

CBC

男性からだまし取った金のほとんどをホストクラブで使っていたという渡邊被告。これまで留置施設で面会した記者に対して、ホストにハマった過去を明かしました。

「捕まる前はサバ缶ばかり」「20歳で“ホス狂い”に」

「20歳で”ホス狂い”になった」と話す渡邊被告。

新宿・歌舞伎町のカプセルホテルに住むようになり、風俗店で金を稼いではお目当てのホストに貢いでいましたが、多額の売掛金に行き詰まります…そこで始めたのが「頂き」です。

「家賃を滞納している」「親と縁を切るために手切金が必要」など、経済的に苦しんでいるというウソを、色恋の言葉とともに語って金をだまし取ったのです。ホストクラブで使う金のためにウソを重ねた渡邊被告。

画:三影祐水 去年12月

「ホストって、家なくても心配とかしてくれないんだよね」
「捕まる前はサバ缶ばかり食べていた。1万円使うと、その分、担当(ホスト)に使える額が1万減っちゃうって」

渡邊被告は、裁判でもホストに貢ぎ続けた当時を振り返り…

「担当(ホスト)に喜んでもらって、自分のことを『良い子だな』って思ってほしい気持ちだけだった。担当が1000万円プレイヤーになりたいと願望を言っていたから、『もっとお金をもらわなきゃ』と思った」と話しました。

画:三影祐水 3月15日

検察側は「入れあげたホストの売り上げに貢献したいとその原資を求めたもので、身勝手極まりない」などとして懲役13年と罰金1200万円を求刑。

一方、弁護側は「ホストに利用された被害者的側面もある」として、寛大な判決を求めていました。

YouTubeより

22日に下された判決で、名古屋地裁の大村陽一裁判長は、
「男性に対し言葉巧みに好意があるよう装って、繰り返し金銭を詐取した。男性心理を手玉に取り、その好意につけ込む誠に狡猾な犯行。意中のホストらの売り上げに貢献するための資金を得たいなどと考えて犯行に及んでおり、その動機は誠に身勝手で、酌むべき余地はない。刑事責任は相当重いといわざるを得ない」
などとして、懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡しました。

(森本記者)
「裁判長が判決理由を読み上げている際、呼吸が荒くなり、深呼吸を促される場面もありました。接見の時にはいつも見られていた笑顔がきょうはなく、うつむきがちな表情が印象的でした」

CBC

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