「愛教大による支配を完全に崩壊させる」と河村たかし市長 名古屋市教委の金品授受問題  名簿とカネと学閥

校長を推薦する名簿がお金とともに教育委員会に渡されていた…名古屋市で起きたこの問題、人事への影響は無かったのでしょうか。

そして、チャント!が取材する「学閥」をめぐっても新たな疑惑が出てきました。

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3月29日…

(調査チーム座長 京都芸術大学 寺脇研教授)
「びっくりすることばかりで、私の常識がおかしくなったのか」

名古屋市教育委員会の「名簿とカネ」の問題を調査している専門家チームが、中間報告を明らかにしました。

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問題の図式はこうです。

名古屋市の教育委員会には毎年、小中学校の現役校長の集まりである「校長会」や教員の出身大学の「同窓団体」、担当教科の「研究会」などの教員団体から、校長などに推薦する教員の名簿とともに、現金や商品券が渡っていました。

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中間報告によると、教育委員会で人事を担当する教職員課が受け取っていた金品は、約70の団体から毎年150万円から200万円ほど。

調査した7年間での総額は、1312万円あまりにものぼります。

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これらのほぼ全額を、仕事が忙しい時期の「飲食代」や「タクシー代」などに使っていたといいます。

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金品や、それとともに渡された推薦名簿が、人事に影響を与えることは無かったのでしょうか…調査チームは「現時点で認定できない」と明言を避けましたが、報告を受けた河村たかし市長は。

(名古屋市 河村たかし市長)
「(名簿や金品の)影響はないと言っているけど、にわかに信じられない。愛教大による支配ですね、人事の。完全に崩壊させる」

愛知教育大学出身者による「人事の支配」が問題の背景にあると主張しました。

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チャント!が報じた、愛教大の「学閥」問題。

(脇田亜彩香記者)
「校長会の会長の名前が愛教大の同窓会名簿に載っています。愛教大の卒業生とみられます」

名古屋市内の小中学校の校長を束ねる校長会は、会長、副会長、理事の幹部13人全員が愛教大出身とみられています。

また、教育委員会で人事を担当する教職員課も、3月の時点で、課長を含む小中学校の人事担当者12人のうち10人が愛教大出身とみられることが判明しました。

2000年に行われた調査では、名古屋市の小中・特別支援学校の教員の半数が愛教大出身者。(50.0%、あいち県民教育研究所調べ)

重要ポストを占める「学閥」内での推薦が、教員人事も左右していたとみられています。

さらに、今回の中間報告では、新たな問題も明らかに…

(寺脇座長)
「教育委員会事務局で、人事とか管理職を経験したOB(退職者)に、事前に『この人が校長になりますよ、この人が教頭になりますよ』ということを見せる。これが『内覧』と呼ばれていたので、これはあってはならない行為」

教職員課で人事を担当していた退職者らに事前に人事案を見せた上、その会合費として、教員団体から贈られた金品を使っていたのです。

関係者によると、教職員課の人事担当は昔から、愛教大出身者の教員経験者が務めるのが「慣例」だといいます。

2015年以降の担当者の出身大学を調べてみると…確かに、全員が愛教大出身とみられます。

愛教大出身の教員経験者が、教職員課で人事を担当し、OBになった後も、人事に関与していた疑いが浮上したのです。

教育委員会は「学閥自体はどの組織にもある。それが人事や金品授受に影響しているのであれば対応していきたい」との考えですが、一連の問題を受けて、今年度からは、教職員課長に初めて教員出身ではない一般の職員を充てることになりました。

不可解な「名簿とカネ」…そして、その背景に見えてくる強固な「学閥」。

(河村市長)
「愛知教育大学のOB会による教員の選定、お金のやり取りを全部解体する」

調査チームは、学閥によって不公平な人事が行われていないか、今後も調べる必要があるとしていて、夏ごろに結論を出す予定です。

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