避難所の運営・道路工事から高齢者のリハビリまで 被災地を支える“民間ボランティア”のいま  

物事の核心に迫る「大石が聞く」。今回は、被災地での支援をご紹介します。
行政の支援に限界のある中、注目されているさまざまな「民間による」支援とは。 

石川県穴水町の避難所「さわやか交流館プルート」。ここで災害支援を行っているのは名古屋のNPO法人「レスキューストックヤード」常務理事の浦野愛さん。

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(レスキューストックヤード 浦野愛常務理事)
Qここはどんな支援場所?
「ここは『プルート』という生涯学習センターのような施設で、この中に社会福祉協議会が入っていて、地震が起きた1月1日からは避難所として解放されている」

(名古屋大学 福和伸夫名誉教授)
「いち早く浦野さんたちレスキューストックヤードがここに入って中心になることで、名古屋のいろいろな支援チームがここに入ることができた」

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レスキューストックヤードは阪神淡路大震災を機に設立され、20年以上国内の様々な災害で支援活動を行ってきた民間団体。ここでは避難所の運営などを行うと共に、名古屋市などからボランティア560人も受け入れ、活動を支援しています。

(レスキューストックヤード 浦野常務理事)
「在宅や車中泊で避難している人もここへ来て、情報を取ったり、物資を提供してもらったりしている」

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(大石邦彦アンカーマン)
「確かに(ホワイトボードに書かれた)食事の配給時間、給水、自衛隊のお風呂、ブルーシートの配布…そうか、皆さんここで情報を取ってということなですね」

愛知の医科大学からも支援の手が…

そしてここには、もう一つ民間の支援が。

(大石アンカーマン)
「あ、(ビブスに)『災害救助 藤田医科大学』と書いてあります。藤田医科大学から来られた?」「はい」

愛知県の藤田医科大学から派遣されていた理学療法士の河野裕治さん。

(藤田医科大学 河野裕治さん)
「もともと震災前にリハビリを受けていた人が、震災で受け入れられなくなっている。そういった方に対して、活動量を落とさないように、主に歩いてもらうことがメイン。(活動量)が落ちてしまうと次の病気につながってしまうので、そういった支援をさせてもらっています」

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藤田医科大学は1月4日から穴水町へ支援に入り、医療従事者や防災士の資格を持つ学生の派遣を続けています。

(大石アンカーマン)
「この『福祉避難スペース』と書かれた部屋にいる人は、皆さんケアが必要な人なんですね」

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館内にはケアが必要な人向けの福祉避難所もあり、そこでのリハビリなども行っています。

(藤田医科大学 河野裕治さん) 
「南海トラフ(地震)が来ると思うが、現地に来ないと臨場感が分からない。こうなった時に各段階で何ができるか。うまく指示を出したり『こちらの経験ではこうだった』ということを、後輩や職場に伝えなければと思う」

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さまざまな事情を抱えた人々に、個別にきめ細かく対応していく。民間ならではの支援です。

全国から建築関係のボランティアも…

震度6強の揺れに液状化、津波など、“複合災害”に襲われた珠洲市。ここにも民間の手が。

地盤沈下で出来た橋の段差を直していたのは、災害支援を行う技術系NPO団体「DRT JAPAN 三重」の山本俊太さんです。

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(DRT JAPAN三重 山本俊太さん)
「本来は(地元)業者の仕事なんです。でも業者さんも被災しているし、指示する市役所の人たちも被災していて、全く(復旧が)追いついていないんです。この地域は漁業が基幹産業。漁師さんの事業を復活させてあげないと生活の基盤ですから。ここの港にアクセスできる道路が今はない」

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能登では行政や地元業者による復旧が全く追い付いておらず、全国から来た建築関係のボランティアが活動を行っています。

そして珠洲市では、愛知のボランティア団体も長期にわたり活動しています。

(大石アンカーマン)
「いい香りがしてきました。ネギ、油揚げ、ニンジン…おいしそうですね、具だくさんの味噌汁」

愛知県春日井市の災害ボランティアのNPO「愛知人」。300人分以上の味噌汁を作っています。

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「東日本(大震災)以上に大変な状況の地域と言っても…」

災害ボランティア団体「愛・知・人」の代表理事 赤池博美さんは、1月3日から珠洲に入り、炊き出しのほか家屋の復旧や清掃活動などを行っています。

(愛・知・人 代表理事 赤池博美さん)
「(倒れたブロック塀に)切れ込みを入れながら、一つずつはがして撤去しています 。本当は一気に崩せれば早いんですけれど、一気に崩すと隣りの家を傷つけてしまう。なので一つずつ丁寧に。

珠洲市だけを考えたら東日本(大震災)と並ぶ、もしくは東日本(大震災)以上に大変な状況の地域と言ってもいいと思います。被害だけじゃなくて、高齢者問題、インフラも交通状況も全て考えると、なかなか復旧・復興には時間がかかるんじゃないか」

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この日は山側に入ったところにある集落へ。鍋を持って集まった住民にみそ汁や簡単な食事を配ります。

(被災者)
「(温かい食事は)ありがたい。水が出なくて、風呂にも入れん」

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行政の支援にも限界がある中で重要な役割を果たしている民間の支援。復興の道筋が見えてこない中、欠かせない力として被災地を支えています。

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