4年ぶりの全校合唱…子どもたちが自分で撮影した校歌のミュージックビデオ かけがえのない日常を映像に

体育館に集まり、声を揃えて校歌を歌う子どもたち。コロナ禍で密を避けるためになくなっていた光景が、ようやく戻ってきました。その姿をカメラに収める生徒たちがいました。小学校の創立150周年を記念して発足した、校歌のミュージックビデオを撮影するプロジェクトに密着しました。

創立150周年記念に校歌のMVを制作!卒業生の映像監督に白羽の矢

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岐阜県関市の下有知(しもうち)小学校では、今年度創立150周年を迎えることを記念し、あるプロジェクトが発足しました。

(下有知小学校・西川正人校長)
「コロナ禍でみんな集まって合唱ができなかったのが3年、もう4年目になるんですけど、それが徐々に緩和されていって。校歌を歌って、その様子を撮ってミュージックビデオ風に仕上げたい」

コロナ禍を経て戻ってきた日常を記録し、“当たり前”の大切さを残すために、児童自らの手で校歌のミュージックビデオを作ることにしたのです。2023年10月、1人の男性が学校を訪れました。八木順一朗さん(35歳)です。

(八木順一朗さん)
「母校への恩返しは、できる限りのことはやりたいと思っていたのでうれしかったですし、やるからには絶対に楽しんでいただけるものを作りたい」

八木さんは20年以上前、この下有知小に通っていた卒業生です。今は映画監督として、多くの映像作品を手掛けています。八木さんに校歌のミュージックビデオ作りを依頼したのは、八木さんの中学時代の恩師である野口和人先生です。夢を叶えた教え子に、ミュージックビデオの監督をしてほしいと、白羽の矢を立てたのです。

理科の実験、給食、登下校…児童が思う大切な生活のシーンが続々

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ミュージックビデオ作りを担当する児童は、6年生の14人。

(八木順一朗さん)
「音に関しては、今回ずっと校歌が流れる。皆が合唱した音がずっと流れるよという感じになります。ここに、いろんな映像がのってくるようなイメージ。今の学校の暮らしをここにちゃんと入れていくと、下有知小ならではの良さが出ると思う」

この日はミュージックビデオをどんな作品にするのか、実行委員の6年生たちと話し合います。

(6年生の児童)
「理科の授業で実験とか観察をしている様子を撮るのはいいなと思います」

「みんなが登校している姿を撮ったらいいと思います」

児童それぞれが大切に思っている学校生活のシーンを撮影してもらうことが、八木さんの狙いです。

(6年生の児童)
「(コロナ禍は)運動会とか全校でできる行事も制限されていたので、思い出として作ったものをみんなに受け継いでいってほしい」

クライマックスは4年ぶりの全校合唱!生徒たちの感想は?

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いよいよ始まった撮影。まずは、ミュージックビデオのベースになる校歌の合唱をクラスごとに撮影していきます。時には台車も使用して移動撮影など、自分たちで工夫しながら、映像のバリエーションを増やします。

(八木順一朗さん)
「自分の好きな場所ね。大イチョウとかもあるし、校舎もあるし、自分の好きな所。空とかでもいいからね」

普段授業で使っているタブレット端末を手に持ち、6年生の実行委員全員がカメラマンとしてそれぞれが「これだ!」と思う学校のお気に入りの風景を撮影していきます。

ミュージックビデオのクライマックス、全校児童で校歌を歌うシーンを撮影するため、体育館に集まった児童たち。全校生徒が集まり校歌を歌うのは、実に4年ぶり。多くの児童が初めての経験です。

(6年生の児童)
「体育館に全校で集まったのが、久しぶりで楽しかった」

「みんなを撮る機会ってなかなかないから、思い出に残ることですごくうれしかった」

撮影を終えた八木さんは…。

(八木順一朗さん)
「最高でしたね。子どもたちのパワーってすごいなと改めて感じましたね。きょう感じたこの感動みたいなものを、見る人にも感じてもらえる映像にしたい」

唯一無二のMVが完成!笑顔と楽しい瞬間が詰まった作品に

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完成した校歌のミュージックビデオは、学校の創立150周年記念式典でいよいよ披露されます。

(八木順一朗さん)
「今回のミュージックビデオは、楽しさが本当に詰まった作品になっています。いいですか?じゃあミュージックビデオいきます。いってみよう!」

撮影した6年生の児童たちをはじめ、学校関係者や各クラスで児童たちが、完成したミュージックビデオを鑑賞します。児童が精いっぱい作ったビデオの再生が終わると、教室には温かい拍手が溢れます。

(6年生の児童)
「下有知小学校に来てビデオ作成に協力してくださりありがとうございました」

また、児童たちから八木さんに、制作時に撮影した写真を添えて、生徒からの感謝が綴られた手紙が渡されました。

(6年生の児童)
「撮影の時に、みんなのいろんな表情が見られて、やっている時も楽しくて、他の人も楽しそうにしているから余計に楽しくなった」

撮影に携わった6年生の児童たちも、完成度の高いミュージックビデオに笑顔を浮かべます。

(八木順一朗さん)
「子どもたちが撮ってきてくれた素材というか瞬間がどれも楽しそうなので、本当にいいものになったなという感じがします。(児童が)将来映像の道に進むのかは分からないですけど、ちょっとだけでも人生に影響が与えられたらいいなと思います」

校歌に合わせて流れる映像には、子どもたちの笑顔と、かけがえのない日常が切り取られていました。

CBCテレビ「チャント!」1月15日放送より

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