観光客マナー違反「最後の手段」 富士山を黒幕で目隠し、オーバーツーリズム対策 他にも【Nスタ解説】

あすからゴールデンウイークですが、日本でもオーバーツーリズム問題が深刻になっています。

コンビニ越しに富士山を望める人気の撮影スポットでは、大きな黒い幕で富士山を見えなくする“目隠し”を設置することが決まりました。

「何かあってからでは遅い」迷惑行為に“最後の手段”

日比麻音子キャスター:
市民や街の安全を守ると同時に観光も盛り上げていく。このバランスをどう取るのか、各地で課題が見えてきました。

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富士山とコンビニとのコントラストが撮影できるスポットが人気となっています。河口湖の駅から出てすぐのところなのですが、車道はかなり狭いです。

なぜ、この景色が人気なのか。SNSで調べたところ「異世界転生をしたようだ」「ドラマチックな買い物ができるコンビニだ」というコメントがありました。こうした“意外なスポット”に人が集まることが最近増えてきました。

時代小説家 今村翔吾さん:
確かに日本のアニメなどで「都市と富士山」みたいなものがあるので、多分「外国人が思う富士山と日本」に結構合致してるのではないでしょうか。

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日比キャスター:
こういった場所に人が集まり、危険な横断もあるということで、富士山を撮影できないように歩道に「黒い幕」が設置されることになりました。

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富士河口湖町の担当者は「対策をせず、もし事故が起きたら、加害者になるのは地元住民。最後の手段を取らざるを得なかった」と話しています。

これについてSNSでは「事故が起きてからでは遅い。効果のある対応だと思う」や、一方で「前の車道に出て写真を撮る人が出そう…」などの懸念もあります。ただ、「撮ってもいいと思うが迷惑かけちゃダメだよ」など様々な意見が見えてきました。対策というのが急がれるところです。

今村翔吾さん:
「何かあってからでは遅い」というのが、ここまでせざるを得なくなった、という「マナー違反の状況がひどかった」ということですよね。

南波雅俊キャスター:
特にSNSなどが発展している中で、私も2月にスリランカに行きましたが、スリランカにも、普通の線路がいわゆる“映えスポット”となり、観光客が訪れるようなところもありました。国内を見ても北海道や千葉など様々なところにあるからこそ、自治体も含めてきちんと対策をしていかないと、大きな問題が起きかねないです。

せっかくの景観を犠牲に…危険横断相次ぎ“苦肉の策”

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日比キャスター:
他にも対策をとった観光スポットがありました。滋賀県の琵琶湖に佇む白髭神社の大鳥居です。外国からも観光客が多く集まる人気のスポットですが、「近くで写真を撮ると映える」と国道を危険な横断をする人が続出。死亡事故が起きるなど長年問題視されてきました。

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そこで白髭神社側は2024年2月、高さ110センチの柵を100mにわたって設置。これまでの景観を損ねる形になりましたが、安全面を優先に考えたということです。

今村翔吾さん:
僕の住んでる大津市と高島市の市境にありますが、地元の人も通るときは絶対徐行するぐらい「危険な横断が来るもんや」と思って通る道ですし、死亡事故も1件とかではなく何件も起きているので、先ほどの河口湖もそういうことに繋がりかねないな、と思います。

日比キャスター:
元々は琵琶湖と鳥居が繋がったような形で撮影できる、ということでしたが柵が設置されました。今村さんは近くにお住まいということで、この景色というのはいかがですか?

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今村翔吾さん:
正直、この景色が好きでしたし残念ですが、運転しながら鳥居側に気を取られる車の事故も多いです。なので、いろんな意味で仕方ないのかな、とは思いますね。

日比キャスター:
白髭神社の高橋敬一宮司は「設置に悩んだが、安全確保が第一と考えた」とのことです。

京都では観光客と住民を“すみ分け”でオーバーツーリズム対策

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人気観光地の京都では、オーバーツーリズムへの対策が常の課題となっています。2024年6月から「観光特急バス」を導入予定です。▼清水寺や銀閣寺など主要の観光地にのみ停車、▼土日祝日に運行するもので、普段市民が使う路線とすみ分けて混雑緩和を狙うものです。

今村翔吾さん:
これは少し過激かもしれませんが、ヴェネツィアでもあったように、関所を作り地元住民や通勤の人は通れるようにして、京都市は財政も厳しいので、いわゆる“整備するためのお金”ということで観光客からいただく、というのはありだと思います。

日比キャスター:
「関所を設置する」というのがまた日本の文化を楽しんでもらう、という面で観光要素にならないですかね。

今村翔吾さん:
むしろ、その時代っぽい関所を建てて、雰囲気で楽しんでもらえれば、という。

南波キャスター:
歴史も含めて海外の方にウケるかもしれないですね。

今村翔吾さん:
戦国時代ぐらいの関所を建てたら、150mおきに関所がある時代もあったので、加減を見ながら。

日比キャスター:
“今できる、今時の対策”が、どのようなものがあるのか検討が続けられるところです。

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<プロフィール>
今村翔吾 さん
「塞王の楯」で第166回直木賞受賞、歴史・時代小説家。30歳までダンス講師。

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