帰る途中に火事、とっさに自宅のホースで消火 貢献した高校生を表彰

記念品の南部鉄器の記念品を手にする升谷來夢さん=2024年9月12日、盛岡市志家町、藤井怜撮影

 帰る途中、自宅近くの草地の一部から炎が上がっていた。キャンプファイア?と思うほど。とっさに自宅のホースを使って消火にあたり、延焼防止に貢献――。岩手県教育委員会は、この消火活動をした高校生をたたえ、今年度の岩手県はばたき賞を贈った。

 高校生は水沢商業3年の升谷來夢(らむ)さん(18)。草地が燃えていたのは5月、友達と祭りに出かけた帰り道で、奥州市の自宅そばだった。「火の勢いがすごくて、自分より背の高い炎が上がっていた」。気づいた人たちが通報したりしていた。

 以前、火災は初期消火が大事だということを本で読んだのが頭によぎった。「このままでは周りの家に燃え広がってしまう」

 最初は足がすくんだが、とっさに自宅に戻ってホースを蛇口につなぎ、伸ばして放水した。さらに、消火器を持ってきた人が加わり、消防隊が到着した頃には、火の勢いは収まっていたという。

 「無我夢中だった。自分の行動で良い結果になり、自信になった。これからも、できることを一つずつ行動に移したい」と笑顔を見せる。

 はばたき賞は、他の模範となる行為や活動をした児童生徒たちを年2回、表彰している。今回は升谷さんら6人と2団体が受賞。盛岡市内で9月12日、表彰式があった。

 代表してあいさつした升谷さんは「起きてほしくはないが、将来、同じような事案に遭遇した際は、今回と同様に冷静な対応で、被害を最小限に食い止めたい」と語った。(藤井怜)

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