80代姉妹から2000万円着服疑い 介護施設元社長を逮捕 大阪

大阪府警本部

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 介護施設を利用していた姉妹から財産管理を任されながら、口座から現金計約2000万円を無断で引き出したなどとして、大阪府警は26日、施設運営会社元社長、西影由貴容疑者(38)=大阪市城東区=を業務上横領と詐欺の疑いで逮捕した。姉妹は自由に使える資産がほとんどなく、自宅も容疑者の提案で売却されたという。府警は容疑者が全財産を狙ったとみて調べている。

 西影容疑者は介護施設運営会社の社長として、通所型介護施設「りはびりぷらすDayService」を同市鶴見区で運営。施設は2023年10月に廃業した。被害に遭ったのは府内の80代の姉妹で、19年から施設を利用していた。

 逮捕容疑は21年5月から23年7月までの間、姉妹の生命保険を勝手に解約するなどし、預金口座から現金約2000万円を引き出したなどとしている。「姉妹からお願いされたのでやった」と容疑を否認している。

 姉妹は、体が不自由な姉を妹が車椅子に乗せ、施設に通っていた。近くに身寄りがおらず、生活費などの財産管理を容疑者に委ねる契約を21年10月に文書で結んだという。

 府警刑事特別捜査隊によると、西影容疑者は姉妹の口座から引き出した現金を自身の生活費や介護施設の運営費に充てていたとみられる。また、姉妹が住んでいた戸建て住宅について「脚が悪いから不便」と持ちかけて売却。代金約800万円を得ていた疑いがあり、経緯を捜査している。

 姉妹は自宅が売却されることになり、22年6月に容疑者が用意したマンションに転居。その後、別の賃貸住宅に再び移った。自由に使える資産がなく、府警に「電気やガスがたびたび止まり、夏も冷房が使えなかった。お風呂に1カ月以上入れない時もあった」と説明した。姉が熱中症になり、救急車で搬送されたこともあったという。

 マンションの清掃員が妹と話している中で姉妹の生活状況を懸念。連絡を受けた大阪市の地域包括支援センターが23年8月に府警に相談していた。【斉藤朋恵、林みづき】

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