ペットが飼い主を幸せにするとは限らないとの研究結果

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犬を飼うことが、飼い主のメンタルの維持や苦痛の緩和に貢献してくれることが、過去の研究で示されています。しかし、幸福度という観点から見ると、ペットは人間をそれほど幸せにしてくれるわけではない可能性があることが、新しい研究で判明しました。
The Perks of Pet Ownership? The Effects of Pet Ownership on Well-Being During the COVID-19 Pandemic - William J. Chopik, Jeewon Oh, Rebekka Weidmann, Jonathan R. Weaver, Rhonda N. Balzarini, Giulia Zoppolat, Richard B. Slatcher, 2023
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/01461672231203417
New study raises questions about the benefits of pet ownership
https://www.news-medical.net/news/20231110/New-study-raises-questions-about-the-benefits-of-pet-ownership.aspx
Does Pet Ownership Help or Harm Your Well-Being? | Psychology Today
https://www.psychologytoday.com/us/blog/cutting-edge-leadership/202311/does-pet-ownership-help-or-harm-your-well-being
一般的に、ペットは個人の幸福にプラスに働くと考えられているため、特に新型コロナウイルス感染症のパンデミックの時期にはペットを飼うことがよく奨励されました。

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ペットの飼育が、パンデミックに苦しむ人々の幸福度を向上させたのかを検証するため、ミシガン州立大学の研究チームは、2020年5月に3回に分けて合計767人を対象とした調査を行いました。
調査には、ペットが果たした役割を振り返って自由形式で回答してもらうアンケートと、複数の指標により幸福度を定量的に評価する分析を組み合わせる混合方式が採用されました。
アンケートに回答したペットの飼い主の中には、ペットがリモートワークの邪魔をしたり、ペットの健康を心配しなければならなかったりと、ペットを飼うことの負担を報告する飼い主もいました。また、寿命が短い動物を飼っている人は、ペットロスの悲しみを挙げることもありました。
しかし、全体的に見ると否定的な意見よりも肯定的な意見の方が多く、飼い主たちはペットが自分たちを幸せにして、気持ちを前向きにし、愛情や親しみを与えてくれると回答しました。

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例えば、ある女性は「ペットをどこにでも連れて行いって、日々の経験を共有しています。そうすると、自分が孤独だと感じることはありません」と話しました。
また、犬を飼っている人の中には心強い番犬として飼っているという人もいたほか、癒やしの効果を期待してアニマルセラピーとしてペットを飼っている人もいたとのこと。
ところが、ペットを飼っている人の幸福度を測定して飼っていない人と比べたところ、ほとんど差が見られませんでした。この結果には、ペットの種類や数、ペットとの親密さは関係なく、また飼い主の性格の影響もありませんでした。
研究チームは、「ペットの飼い主とそうでない人の幸福度に差がないのは、ペットを飼っていない人は自分を幸せにしてくれるさまざまなものを他に見つけて、それで自分の人生を豊かにしているからではないか」と考えています。また、アンケートの中でペットの飼い主たちが言及したように、ペットを飼うことの負担がポジティブな効果を相殺している可能性もあります。

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今回の調査結果について、ミシガン州立大学心理学部のウィリアム・チョピック氏は、「人はペットを飼うと幸せになれるといいますが、実際に幸福度を測定してみると、そうでもないようです。人は知り合いが孤独だったり、仲間を欲しそうにしたりしていると、ペットを飼うことを勧めるものですが、そういう人が考えているほど大きな変化がもたらされる可能性は低いでしょう」と話しました。
なお、ペットがパンデミックに苦しむ人間をそれほど幸福にしなかった一方で、リモートワークなどで飼い主が家にとどまる時間が増えたことによりペット、特に猫の幸福度は上昇した可能性があることが、別の研究によって判明しています。
パンデミックでペットの多くが幸せになった可能性、特にネコ - GIGAZINE

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