ロシアのGoogleことYandexが検索エンジンや配車サービスなどのロシア事業を企業価値のわずか半額の7700億円でロシア企業に売却

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by ermakov
検索エンジンや配車サービスなど、さまざまな事業を手がけ「ロシアのGoogle」とも呼ばれるIT企業「Yandex」が、ロシアでの全事業をロシアの投資家グループに売却したことを発表しました。売却価格は4750億ルーブル(約7700億円)で、Yandexの時価総額のわずか半額に抑えられました。
Yandex — Company news — Yandex N.V. Announces Binding Agreement to Divest its Russia-based Businesses
https://yandex.com/company/press_center/press_releases/2024/05-02-2024

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Yandex owner to exit Russia in $5.2 billion deal | Reuters
https://www.reuters.com/technology/yandex-nv-agrees-52-bln-sale-russian-assets-investor-consortium-2024-02-05/
Why the $5.2 billion sale of Russia's Yandex is significant | Reuters
https://www.reuters.com/markets/deals/why-52-bln-sale-russias-yandex-is-significant-2024-02-05/
Yandex to sell its remaining Russian businesses for $5.2B — half its market value | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/02/05/yandex-to-sell-its-remaining-russian-businesses-for-5-2b-half-its-market-value/
1997年に設立されたYandexは検索エンジンや電子メール、翻訳サイトなどのオンラインサービスのほか、タクシーの配車サービスなどを手がけるロシア最大手のIT企業です。一方で法的にはオランダにある持株会社のYandex NVが本社となっており、ロシア政府の影響がないことをアピールして、アメリカの株式取引所「ナスダック」にも上場しており、2021年11月時点の時価総額は300億ドル(当時のレートで約3兆4500億円)を超えていました。
しかし、2022年2月にロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始したことでYandexへの風向きが大きく変わります。2022年3月にナスダックとニューヨーク証券取引所がYandex株の取引を停止。Yandexの時価総額はウクライナ侵攻後わずか半年間で75%も下落しました。
ナスダックは2023年3月、Yandexを含むロシア企業4社に対して上場廃止を通告しました。これに異議を唱えるYandexに対し、ナスダックは「ロシア事業の再編と売却を2023年中に完了すること」を条件に、上場の維持を認めました。
これを受けてYandexは、検索エンジンや配車サービスなどの主要事業をYandexから切り離し、回収した資金を買い戻しや配当を通じて投資家に分配すると共に、ロシア国外での事業を展開する予定であることが2023年11月に報じられていました。
「ロシアのGoogle」とも呼ばれる巨大IT企業のYandexがロシアの全事業を売却することを計画中 - GIGAZINE

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そして2024年2月5日、Yandex NVは正式にロシアの投資家グループに対してYandexの主要事業を売却。ロシア政府は外国企業がロシア国内から撤退する際に資産を半値で売却することを義務付けており、今回の取引は2024年1月31日までの平均株価による時価総額の半額である、約4750億ルーブルで行われました。なお、Yandex NVへの現金対価は、両社にとって都合の良い中国人民元で支払われるとのこと。
Yandex NVによる事業の売却先は、「Yandexのロシア事業の上級管理職チームからなるメンバー」「ロシアに本拠を置く石油会社・ルクオイル」「ロシアの起業家であるアレクサンドル・チャチャバ氏、パベル・プラス氏、アレクサンドル・リャザノフ氏」で構成されるコンソーシアムです。

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Yandex NVによる事業売却は、ロシアの規制当局と株式の承認を得た後、2段階で行われる予定で、2024年上半期中にその第1段階が完了し、第2段階は第1段階の完了後7週間以内に完了する見込みです。
売却取引の完了後、Yandex NVにはAIクラウドプラットフォーム「Nebius AI」や大規模言語モデル開発のためのデータソリューションパートナー「Toloka AI」、自動運転技術開発を行う「Avride」、教育工学サービスを提供する「TripleTen」などの事業が残されることになります。Yandex NVは「今回の事業売却での主な課題は、残されるこれらの事業の本質を破壊しないことでした」と述べています。
Yandex NVのジョン・ボイントン会長は「2022年2月以降、Yandexグループと私たちのチームはかつてない課題に直面してきました。今回の事業売却は、株主やチーム、ユーザーにとって可能な限り最善の解決策だと信じています。事業売却を行うことで、株主は当社が売却する事業の価値を回収できるとともに、Yandex NVが今後も保持する事業の国際的な新たな成長の可能性を解き放ちます。また、売却された事業は新しい所有者のもとで運営されることになるでしょう」と報告しました。

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なお、売却の完了後、Yandex NVは「Yandex」ブランド名の使用を中止し、海外事業では独自のブランディングを展開していく方針であることを明らかにしています。

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