ベジタリアンや植物ベースの食事をとる人は新型コロナを発症するリスクが低いという研究結果

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2023年5月に季節性インフルエンザと同じ「5類感染症」に移行しましたが、発症すると高熱や喉の痛み、せきなどの症状が出ることは以前と変わらないため、可能であればかかりたくないものです。新たに、「ベジタリアンや植物ベースの食事をとる人は、COVID-19を発症するリスクが低い」という研究結果が報告されました。
Vegetarian and plant-based diets associated with lower incidence of COVID-19 | BMJ Nutrition, Prevention & Health
https://nutrition.bmj.com/content/early/2024/01/02/bmjnph-2023-000629

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Predominantly plant-based or vegetarian diet | EurekAlert!
https://www.eurekalert.org/news-releases/1030410
Study Finds One Kind of Diet Linked to Reduced COVID-19 Infection Risk : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/study-finds-one-kind-of-diet-linked-to-reduced-covid-19-infection-risk
依然として世界中で大勢の人々がCOVID-19を発症する中で、研究者らはCOVID-19の感染リスクを高める要因についてより深く知るための研究を続けています。ブラジル・サンパウロ大学の研究チームは、2022年3月~7月に募集した成人のボランティア702人を対象に、COVID-19の発症率や重症度に対する食生活の影響を調査しました。
被験者らは日々の食事パターンや摂取する食品群、COVID-19ワクチンの接種を含むライフスタイルや病歴について回答しました。被験者のうち424人が肉もよく食べる「雑食性群」に分類され、残る278人が肉をあまり食べない「植物性群」に分類されました。
植物性群に分類された被験者は日常的に野菜・豆類・ナッツ類をより多く食べ、乳製品や肉はあまり食べませんでした。そのうち、肉を食べる頻度が週に3回以下であるフレキシタリアン/セミベジタリアンの人々は87人で、ベジタリアンやビーガンの人々は191人だったとのこと。なお、雑食性群と植物性群の間で性別・年齢・ワクチン接種率に有意な差はありませんでしたが、植物性群では大学院まで修了している人の数がはるかに多かったそうです。

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全被験者の47%に相当する330人がCOVID-19の診断を受けたと回答し、224人(31.9%)が軽度の症状を、106人(15.1%)が中~重度の症状を経験しました。
COVID-19を発症した人の割合は雑食性群と植物性群で異なり、雑食性群の発症率が51.6%だったのに対し、植物性群の発症率は39.9%にとどまりました。また、中~重度の症状が出た人の割合も雑食性群が17.7%、植物性群が11.2%と開きがありました。なお、症状が続く期間については雑食性群と植物性群で差はみられなかったとのことです。
雑食性群の人々は身体活動が少なく、既往症があり、肥満である可能性が高いことが報告されているため、これらの差が今回の結果に結びついている可能性があります。また、植物ベースの食事がもたらす心臓の健康状態の改善や血圧の低下といったメリットも、体の免疫システムを向上させて感染症のリスクを減らすために役立った可能性があるとのこと。
研究チームは、「植物ベースの食事には抗酸化物質・フィトステロール(植物ステロール)・ポリフェノールが豊富に含まれており、これらは免疫機能に関与するいくつかの細胞にプラスの影響を与え、直接的な抗ウイルス作用を示します」と主張しています。

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今回の研究はあくまで相関関係を調べたものであり、「植物ベースの食事がCOVID-19を発症するリスクを減らす」といった因果関係は証明できません。しかし、肉や動物性食品を避けることでウイルスへの防御効果が得られる可能性があることを示唆するものです。
研究チームは、「私たちの研究は運動量・BMI・既往症などの重要な変数を考慮した後でも、植物ベースの食事、特にベジタリアンの人はCOVID-19の発症率が低いという証拠を提供するものです」と述べました。

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