クジラと科学者が20分間「会話」することに成功、地球外生命体とのコンタクトにも役立つ可能性も

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アメリカのカリフォルニア大学デービス校の科学者が率いる研究チームが、水中スピーカーを使ってトウェインと名付けられたザトウクジラとの「会話」に成功したと報告しました。この研究には、地球外生命体の発見を目指すSETI研究所の科学者も参加しており、ザトウクジラとのコミュニケーションが地球外生命体とのコンタクトにも役立つ可能性があるとのことです。
Interactive bioacoustic playback as a tool for detecting and exploring nonhuman intelligence: “conversing” with an Alaskan humpback whale [PeerJ]
https://peerj.com/articles/16349/

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Whale-SETI: Groundbreaking Encounter with Humpback Whales Reveals Potential for Non-Human Intelligence Communication
https://www.seti.org/press-release/whale-seti-groundbreaking-encounter-humpback-whales-reveals-potential-non-human-intelligence
World's 1st 'conversation' between humans and whales could help us talk to aliens someday, scientists claim | Live Science
https://www.livescience.com/space/extraterrestrial-life/worlds-1st-conversation-between-humans-and-whales-could-help-us-talk-to-aliens-someday-scientists-claim
The surprising reason why alien hunters had a 20-minute 'conversation' with a humpback whale
https://www.zmescience.com/science/news-science/humbpack-whale-communication/
クジラは非常に知能が高く、複雑な社会システムを構成しており、鳴き声を利用して仲間とコミュニケーションを取っています。そのため、多くの研究者がクジラの言葉を理解するための研究を行っており、クジラの鳴き声をAIで分析する試みも進められています。
カリフォルニア大学デービス校やアラスカクジラ財団、SETIなどの研究チームは、2021年8月にアラスカ沖でザトウクジラがあいさつに用いる「whup」または「throp」と呼ばれる鳴き声を高品質で録音しました。そして翌日、録音した鳴き声を船の水中スピーカーで流し、ザトウクジラが反応するかどうかを調査しました。
実験の結果、トウェインという名前のザトウクジラがスピーカーの鳴き声を聞いて船に近づいて周囲を旋回しただけでなく、スピーカーの鳴き声にまるで会話のように応答したことが確認されました。トウェインは20分間にわたり科学者らが流した30回以上の鳴き声にそれぞれ応答し、その間に7回も水面まで浮上してきたとのこと。
以下の図は、船の周囲を旋回したトウェインが浮上したタイミングと地点を示したものです。

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また、研究チームは鳴き声を流すタイミングを変更すると、トウェインも応答するタイミングを変更したと報告されています。つまり、研究チームがトウェインの返事から30秒待って鳴き声を流すと、トウェインも30秒ほど時間を空けてから返事をしたというわけです。これは、トウェインが適当に鳴き声を返していたわけではなく、意図的に「会話」のようなコミュニケーションに参加していたことを示唆しています。
論文の筆頭著者であるカリフォルニア大学デービス校のブレンダ・マッコーワン博士は、「人間とザトウクジラが、ザトウクジラの言語でコミュニケーションを取ったのはこれが初めてだと考えています」とコメントしました。
地球外生命体の探索を行っているSETIの科学者らがこの研究に参加しているのは、地球外生命体が地球に送信した信号を検出し、解釈する上で人間とザトウクジラのコミュニケーションが役立つと考えているためです。SETIによると、地球上に生息する知性を持つ動物(ザトウクジラなど)とコミュニケーションするシステムは、受信した地球外生命体の信号に適用するフィルター開発につながる可能性があるとのこと。
SETIの科学者で論文の共著者であるローランス・ドイル博士は、「現代の科学技術には限界があるため、地球外知的生命体の探索における重要な仮定は、『地球外生命体は地球とのコンタクトに興味を持つ、人間の受信機をターゲットにするだろう』ということです。この重要な仮定は、ザトウクジラの行動によって確かに支持されています」と述べました。

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