Internet Archiveが「全国緊急図書館」への著作権侵害判決を取り消してフェアユースと認めるよう書面を提出

Internet Archiveが「全国緊急図書館」への著作権侵害判決を取り消してフェアユースと認めるよう書面を提出 - 画像


140万冊のデジタル書籍を貸し出す「National Emergency Library(全国緊急図書館)」が出版社から著作権侵害で訴えられた問題で、全国緊急図書館を展開するInternet Archive(インターネットアーカイブ)が、著作権侵害を認めた地裁判決の取り消しを求める準備書面を第2巡回区控訴裁判所に提出しました。Internet Archiveは、デジタル貸し出しはあくまでフェアユースであり、著作権侵害ではないと主張しています。
Internet Archive: Digital Lending is Fair Use, Not Copyright Infringement * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/internet-archive-digital-lending-is-fair-use-not-copyright-infringement-231218/

Internet Archiveが「全国緊急図書館」への著作権侵害判決を取り消してフェアユースと認めるよう書面を提出 - 画像


全国緊急図書館は2020年3月24日、新型コロナウイルスのパンデミックを受ける形で、図書館に行くことができなくても読書を続けられるようにするサービスとしてスタートしました。サービスを展開するInternet Archiveでは2011年から、書籍の電子版の貸し出しサービス「Open Library」を行っていましたが、実際の図書館と同じように在庫数と貸出期間が決まっていて、人気書籍は貸し出し待ちが発生していました。全国緊急図書館では貸し出しの待機リストが廃止され、一度に最大10冊まで自由に本が読めるようになりました。
無料で読める140万冊の本をインターネットアーカイブが公開 - GIGAZINE

Internet Archiveが「全国緊急図書館」への著作権侵害判決を取り消してフェアユースと認めるよう書面を提出 - 画像


しかしこのサービスを著作権侵害であるとして複数の出版社が訴訟を起こし、2023年3月、ニューヨーク地方裁判所のジョン・ケルトル判事は出版社側が主張する略式判決の請求を認め、Internet Archiveによる「フェアユースである」という抗弁を却下しました。
インターネットアーカイブが電子書籍の著作権を巡る大手出版社との著作権訴訟の一審で敗訴 - GIGAZINE

Internet Archiveが「全国緊急図書館」への著作権侵害判決を取り消してフェアユースと認めるよう書面を提出 - 画像


Internet Archiveは、ニューヨーク地方裁判所の決定を不服として控訴を決定。2023年12月、第2巡回区控訴裁判所に冒頭準備書面を提出しました。書面の中で、Internet Archiveは「地方裁判所はフェアユースの抗弁を拒否するという誤りを犯した」と主張し、「控訴裁判所は、Interner Archiveによる管理されたデジタル貸し出しがフェアユースであると判断を覆すべきです。この手法は、従来の図書館による貸し出しと同じように、著作者や出版社に損害を与えることなく知識の一般公開を促進するという著作権の目標をさらに推進するものです」と述べました。
Internet Archive創設者のブリュースター・ケール氏は「将来の世代のために知識を保存するというInternet Archiveの取り組みを再確認する」という声明を発表しています。
Internet Archive Defends Digital Rights for Libraries | Internet Archive Blogs
https://blog.archive.org/2023/12/15/internet-archive-defends-digital-rights-for-libraries/

Internet Archiveが「全国緊急図書館」への著作権侵害判決を取り消してフェアユースと認めるよう書面を提出 - 画像


声明の中でケール氏は図書館を「単なる書籍の保管庫」ではなく「歴史と出版された記録の守護者」と表現し、誤情報・偽情報がはびこる世の中で、歴史的な記録に安全にアクセスする手段が必要だと主張。そして、地裁の決定が放置された場合、図書館は蔵書をデジタル学習者に貸し出すことができなくなると警告しています。

ジャンルで探す