「コピーは盗難じゃない」という歌が13年越しに議論を呼んでいる

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著作権についての考えを啓発することを目的としたアメリカの非営利団体であるQuestionCopyrightが2010年に公開した「Copying Is Not Theft(コピーは盗難ではない)」というムービーが、13年たった2023年の時世こそ海賊版の増加やAIによる著作物の学習などの観点で重要であると、改めて大きな議論を呼んでいます。
Copying Is Not Theft - Official Version - YouTube

Copying Is Not Theft [video] | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=38038066
「Copying Is Not Theft」は、音楽に乗せて短い歌で「コピー自体は盗難ではなく、必ずしも問題のある行為ではない」ということを伝えています。「Copying Is Not Theft」の歌詞は以下のような感じ。
「コピーは盗みじゃない。盗みはものをなくすけど」

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「コピーはものを作るんだ。それがコピーさ」

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「コピーは盗みじゃない。コピーはタダであげられる」

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「互いにものを与えあう。それがコピーさ」

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「君の自転車を盗めば君は困るよね」

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「でもコピーしたのをもらえば一緒に乗れる」

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「ものを作り出す、それがコピーっていうものさ」

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「みんなで分けあう。それがコピー。素晴らしいね」

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このムービーを投稿しているQuestionCopyrightは、公式サイトによると「著作権について許容される公的議論の範囲を拡大し、著作物に関連するアーティストや周りの人々の著作権についての考え方を再構築する」ことを目的として、2007年に設立されました。また、主なプロジェクトとして、著作権保護の強化に伴い、コピー自体が窃盗、盗作、悪用や破壊と同一視されるような業界のレトリックに、警鐘を鳴らす取り組みを実施しているとのこと。
例えば、「Copying Is Not Theft」のムービー冒頭で示しているように、映像メディアを再生した時や書籍の注意書き等に、以下のような「コピーを禁止します」と警告が表示されていることがあります。また、一部のDVDやCD等には、コピーを行うことができないコピーガードが備わっていることもあります。著作権で保護された作品をコピーして共有したりダウンロードしたりする行為は、知的財産法違反として犯罪になりますが、私的利用のためのコピーはその限りではありません。そのため、「コピーを行うこと自体が罪であるという考えは改めるべき」とQuestionCopyrightは主張しています。

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「Copying Is Not Theft」のムービーは2010年に公開されたものですが、ソーシャルサイトのHackerNewsで13年越しに話題になり、著作権への考えやコピーについての解釈について議論になっています。
あるユーザーは、「著作権と著作権侵害に関する多くの議論は、コピーと窃盗を混同する傾向があり、『コピーすなわちコンテンツの不正共有』という観点に偏っています」と指摘した上で、「だからといって、『コピーは窃盗ではない』というのは、『著作権法に違反すべきだ』と言っているのではありません」と述べています。「コピーは窃盗ではない」と言うのは、著作権について難しい倫理や是非について議論するために、問題を混同しないようにしようという主張だとこのユーザーは強調しています。
また、著作権侵害は民事で扱われる問題ですが、窃盗は刑事事件であるため、混同して扱うことが間違っているという指摘もあります。日本の刑法では窃盗罪について「他人の財物を窃取した者」と記載されているため、一部の例外を除いて有形物以外は「財物」と見なされないこともありますが、デジタル製品の場合でも「誰かの時間と労力を盗む行為」だとする意見もあります。
コピーに関連して、AIが著作権で保護されたデータで訓練されることも、他人の成果を「窃盗」していると批判されることがあります。AIの学習についても、「コピーは窃盗ではない」という思考をふまえて、考え方を再構成すべきという議論を呼んでいます。

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