「ノロノロ運転」は違反? 過去に10年続けた「10キロおじさん」が話題に! 逆あおり運転となる行為とは

速度超過が違反になることは有名ですが、逆に遅すぎるのは問題ないのでしょうか。

わざとノロノロ走る「逆あおり運転」とは

 わざとノロノロ走行することで後続車の進路を塞いだり、渋滞をひきおこしたりする行為を「逆あおり運転」と呼ぶことがあります。
 
 こうした身勝手な迷惑運転は、どのような違反にあたり、通報しても良いのでしょうか。

わざと「ノロノロ運転」どんな違反となるのか?(画像はイメージ)

わざと「ノロノロ運転」どんな違反となるのか?(画像はイメージ)

 過去には、人が歩くくらいの低速でノロノロと運転し、後ろのクルマに追い越しをさせないといった通称「10キロおじさん」が話題となりました。

 2020年のニュース番組によると、神奈川県清川村周辺の道路で、時速5kmから10kmのノロノロ運転を続けるクルマが約10年間にわたり出没していたようです。

 追い越そうにも追い越せない後続車が10台以上も連なることがあるようですが、地元ではクルマの運転者を「10キロおじさん」の名で呼んでいたと言われています。

 わざと遅く走り、頻繁にブレーキをかけたり、危険もないのに急ブレーキをかけると言います。

 加えて、追い越されそうになると急にスピードを上げ、追い越そうとするクルマをクラクションで威嚇し、ハイビームのまま走行するなど、その迷惑行為は多岐にわたっています。

 こうした、故意に低速で走り、後続車に追い越しをさせない行為を「逆あおり運転」といいます。

 後方のクルマが加害者として高速で接近する行為をあおり運転といいますが、これに対して、前方のクルマが低速で加害者となることから、逆あおり運転と呼ばれるようになりました。

 あおり運転と同じく、逆あおり運転は悪質な乱暴行為であり、危険です。

 2021年には、滋賀県で乗用車がウインカーを出さずに大型トラックの前に割り込み、急ブレーキをかけるという事例が起きています。

 これを受けてハンドルをきり急ブレーキを踏んだトラックは、3000万円する積荷を破損させることになってしまいました。

 しかし、明らかにトラックの困惑を予想していた乗用車は、そのまま走り去ったと言います。

※ ※ ※

 それでは、こうした逆あおり運転に遭ったり目撃した際などは、通報できるのでしょうか。

 警視庁の交通相談コーナーの担当者は、次のように話します。

「逆煽り運転は、通常の煽り運転行為と変わらず、危険運転としてみなされます。

 そのため、該当するクルマの車種とナンバーを控えて、通報してください」

 このように、逆煽り運転もしっかりと危険運転行為とみなされるため、発見した場合には通報しても問題ないようです。

細かく違反項目が決まってる! どんな行為が対象となるの?

 現に、クルマを追い越すときだけでなく、追い越されたときも「他の車両に追いつかれた車両の義務」というものが存在します。

 後続車が追い越そうとしたタイミングで急にスピードを上げたり、抜かせないよう道路の中央に寄ったりする行為は、この他の車両に追いつかれた車両の義務違反に該当します。

 道路交通法第27条では、後続のクルマが追いついて、追い越そうとする場合、前のクルマは速度を増してはならない、と定めています。

 さらに、車両通行帯のない道路で後続車に追いつかれた場合には、できる限り道路の左側に寄って進路を譲らなければなりません。

 つまり、後続車より遅く走るなら、後続車が安全に追い越せるように速度を維持するか、クルマを左に寄せないといけないことになります。

 急ブレーキで後続車の通行を妨げた場合は、危険を回避する目的ではない急ブレーキを禁止する、道路交通法第24条の「急ブレーキ禁止違反」に該当する可能性があります。

 また、追い越す目的以外で追い越し車線を走り続けている場合は、「車両通行帯違反」にあたります。

 道交法第20条では、道路が2車線以上の場合は、原則として一番左の車線を走らなければならず、追い越し車線である右側の車線は、追い越す目的がないときには走行してはならないと定めています。

 高速道路でノロノロ運転するなら、道交法第27条の「最低速度違反」が適用されます。高速道路の最低速度は時速50kmです。

 一般道であっても、道路標識で最低速度が指定されている区間では最低速度違反になります。

 この最低速度区間は、観光地や名勝史跡などを通過するクルマがゆっくり走ることで一般交通に著しく支障を及ぼす地域などに設定されています。

わざと遅く走るクルマ…「逆あおり運転」の可能性も(画像はイメージ)

わざと遅く走るクルマ…「逆あおり運転」の可能性も(画像はイメージ)

 さらに、他のクルマの交通を妨害する目的でこうした危険運転を行った場合は、「妨害運転罪」に問われることになります。

 これは、あおり運転や逆あおり運転が問題化することを受けて2020年6月に新設されました。

 罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金、及び運転免許の取り消しです。

 悪質な場合には、5年以下の懲役または100万円以下の罰金、免許取り消しが科せられます。

 それでは、逆あおり運転に遭ったときはどうすればいいでしょうか。

 ノロノロ運転であれば、追いつかれた車両の義務違反や高速道路での最低速度違反で警察に通報できます。

 明らかに悪質と考えられる場合は、その場で通報してもよいようです。そのほかの運転でも同様の対処ができます。

 このとき、証拠としてドライブレコーダーでしっかり記録しておくことが大切です。また、相手車のナンバーや車種も控えておくとより確かな証拠になります。

 ただし、ノロノロ運転に対してクラクションを鳴らしたり、追い越そうとしたりすると、相手が逆上する危険があります。また、もし追い越し禁止の道路で追い越すと自身が違反することになります。

 そのため、逆あおり運転に遭ってもできる限り冷静になり、交通ルールを守りながら対処することが大切です。

※ ※ ※

 逆あおり運転で被害に遭ったら損害賠償を請求することもできるようです。その場合は弁護士などに相談するとよいでしょう。

 また、故意でなくても、ゆっくり走ることで、交通を妨げる行為として交通違反に問われることもあります。もしもゆっくり走るのであれば、後続車に道を譲るようにしてください。

 故意にノロノロ運転をおこなうのはもちろんNGですが、たとえ故意でなくとも状況次第では、スムーズな交通を妨げる行為として交通違反となることがあります。

 また、あまりに遅い速度で走行するというのは、煽り運転などを誘発させ、二次的な事故に繋がる危険性もあります。

 したがって、もしノロノロ運転をしている場合は、後続車にスムーズに道を譲るようにしましょう。

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