【首都圏サウナ通信員#14】錦糸町・黄金湯 東京の下町でととのう

07/25 08:20 au Webポータル

au Webポータル編集部員が首都圏のサウナをめぐる「首都圏サウナ通信員」。14回目は名サウナが多い街・錦糸町にある「黄金湯」を訪ねた。1932年創業の歴史ある銭湯で、2020年にリニューアルし、全国のサウナーが駆けつける屈指の施設に生まれ変わった。(随時掲載)

錦糸町駅から歩いて約10分にある黄金湯。おしゃれな雰囲気の店構え au Webポータル編集部

首都圏サウナ通信員14回目 名サウナそろう街へ

錦糸町 黄金湯

電車を降りると、浴衣を着た力士の姿があった。いつもにぎやかな錦糸町は、繁華街と下町の雰囲気が混在して独特の魅力がある街だ。サウナーにとっても「ニューウイング」や「楽天地スパ」など、名サウナが多いエリアとして知られている。

JRの駅から北口を出て、新たな東京のシンボル・スカイツリーに向かって歩くこと約10分。静かな住宅街の中に、黄金湯が見えてきた。

シンプルでおしゃれな店構え。清潔感もあって入店前から気持ちがいい。

黄金湯への道中にはスカイツリーも見える au Webポータル編集部

「番台」にDJブース

暖簾をくぐったら、入浴券を買って靴をしまいサウナが利用できる証しとなるバンドを手首に巻いてもらってから、脱衣所へと進む。

一般的な銭湯であれば「番台」であるフロントは、ミネラルウォーターやジュースが購入できるほか、ビアバーとDJブースも備えていてここだけ見れば銭湯の一角だとは全く思えない。記者が訪れた日には、ビートルズが流れ、女性2人組や若者がサウナ後のクラフトビールを楽しんでいた。

アルコールが苦手でなければ、ぜひ湯上がりの一杯を楽しんでほしい。

黄金湯のフロント。一見すると銭湯とは分からない au Webポータル編集部

サウナの隠れ家感

小綺麗な脱衣所には、昔懐かしいアナログな体重計が置かれている。戦前から続く黄金湯の、歴史の一端を見た気がした。

浴場は明るく開放的だ。洗い場のシャワーの蛇口が、ほかの銭湯や施設と違っていて独特のかわいさがある。壁には「銭湯絵」が描かれていて、男湯から女湯へと物語が紡がれているようだ。いろんなところに利用者を楽しませるこだわりと工夫が施されている。

サウナ室(サ室)へは浴場の一番奥の扉から入る。コンクリート打ちっぱなしの暗がりを進んだ先に、お目当ての場所が見えてきた。明るい浴場からサウナ室へ続く暗がりは隠し通路のような感覚。まるで秘密のアジトのようだ。

サ室入り口のすぐ向かいには半露天のような大水風呂がある。水温は15度を下回る冷え具合だ。たっぷり汗をかいた直後に間を置かず入れる。

外気浴スペースは、大水風呂の脇を通ったすぐのところにある。ととのいへの動線は最高だ。給水器もここに設置されている。真夏のような暑い日だったが、よく冷えていた。

黄金湯は浴場内にももう一つ水風呂があり、温度はやや高めの20度ほどに設定されていた。冷たい水風呂が苦手な人でも、ととのいにチャレンジしたい人にとってはありがたい。

絶妙なオートロウリュ

ビート板タイプのサウナマットを手に、いよいよ待ちに待ったサ室へと入場だ。多くのサウナーから高評価を受ける理由を体感する。

優しい灯りに照らされる室内は程よく暗く、リラックスしながら汗をかける。2段造りで12人は座れそうだ。温度計は110度近くを指しているが、不思議と全く熱苦しくない。皮膚全体にしっかり熱気を感じつつも、呼吸は苦しくないので十分な時間をかけて足の末端まで血流を巡らせることができる。

熱せられたサウナストーンに自動で水を吹きかけて蒸気を発生させ、サ室内の体感温度を一気に上げるオートロウリュ。黄金湯のサ室は水の噴出量が絶妙なのか、逃げ出したくなるような熱波が襲いかかってくることはなく、気持ちいい熱さで大粒の汗が吹き出し、100度超えの空間の中でありながら爽快感すら感じた。

気持ちが上がる大水風呂

サ室の魅力を十分味わったら、大水風呂でのクールダウンへと急ぐ。

コンクリートで囲まれた無機質な空間の水風呂は、水中をほのかに照らすライトがアクセントとなり、高級リゾートのプールのような雰囲気で気分が上がる。体についた大量の汗を、かけ水でしっかり落としてから入水だ。

薄暗がり、静寂の中での粗熱取りはこの上ない気持ち良さだ。最も深い所では90cmと、体を折り曲げずに入れることで体中の血管をムラなく冷やしてくれる感覚があった。

この大水風呂内にもさりげなく銭湯絵が描かれている。入った人にしか見られないかわいい絵があるので、クールダウンしながらぜひ探してみてほしい。

ゆっくり楽しめる休憩プランも

小綺麗な宿泊エリア。サウナを思う存分楽しんだあと、昼寝ができる au Webポータル編集部

最高の水風呂を楽しんだら、最後は仕上げの外気浴だ。

青空が見えるスペースにイスが7脚ほど並ぶ。リクライニングはできないものの、深く腰掛けることができるタイプのデッキチェアで、十分にととのうことができた。

座ってから約5分、脳がとろけるような深いととのい感覚が解け、見上げた先には「黄金湯」の文字が書かれた煙突が目に入った。どこからか線香の匂いも香り、心身ともにリラックスした。

サウナーたちが訪れるべき秘密の「アジト」は、東京の下町にひっそりとある。ぜひ覗いてみてほしい。

黄金湯は通常の利用時間は2時間だが、デイユースの休憩プランを使えば最大5時間サウナとお湯が楽しめるのに加え、宿泊エリアで昼寝をすることもできる。時間を気にせずゆっくり楽しみたい人におすすめだ。(普久原裕南)

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