《独占》「デコピンと一緒」「キッズファースト」大谷翔平ダンロップCM撮影の舞台裏
子どもたちが野球をしている姿を微笑みながら眺めている大谷翔平。その隣には、野球の神様・ベーブ・ルースが。ベーブ・ルースは語りかける。「日本からやってきた君が、僕の記録を塗り替えた。そんなこと、いったい誰が想像しただろう? もちろん、僕もね」とーー。
9月27日、ドジャースが3年連続の地区優勝を果たした。大谷翔平(30)にとっては、メジャー7年目にして初の地区優勝。19日にはメジャー史上初の「1シーズンに50本塁打50盗塁」という歴史的快挙も成し遂げた。
名実ともに「世界一の選手」となった大谷。その活躍を後押ししたのは「野球の神様」だったのかもしれない。
7月、住友ゴム工業は大谷と広告出演契約を締結。大谷は、ダンロップブランドの新CMと次世代オールシーズンタイヤの新商品「シンクロウェザー」のCMに出演することとなった。
冒頭のベーブ・ルースとの“共演”が見られるのは、ダンロップブランドの新CM。「もし伝説の大リーガーのベーブ・ルース選手が現代にいたら」という発想のもと、全米からベーブ・ルース役を募集。ハリウッドの特殊メイクチームやCGの力を使い、リアルさを追求した。
「一般の消費者からするとタイヤは買い替える頻度も多くはないので、馴染みのある商品ではないでしょう。ですが大谷選手とベーブ・ルースの“共演”CMはかなり反響があります。お客様相談室などに『大谷選手が宣伝してるタイヤが欲しいんですけど』『大谷選手のタイヤはどこで買えるんですか』といった電話をたくさん頂戴しているんです。『CMのメッセージに感動した』という声もいただいており、今までに経験したことのない反響です」
こう語るのは、株式会社ダンロップタイヤ マーケティング本部消費財マーケティング部長の村尾亘さん。大谷とベーブ・ルース。球界が生んだスターの夢のような共演が実現するまでの道のりをこう明かす。
「大谷選手はさまざまなCMに出演していますが、だれかとの共演はおそらくこれまでなかったのではないでしょうか。大谷選手がひとりで出演しているイメージが強いだけに誰かとの共演は新鮮だと思いました。そんななかでベーブ・ルースとなると肖像権の問題などハードルはかなり高かったですが、完成したときには世の中に大きなインパクトを残せるんじゃないかと思ったんです」
大谷への出演オファーへは、23年夏ごろから社内で動き出した。
「ダンロップの『想像を、追い抜け。』というキャッチコピーにぴったりなのは大谷選手しかいないということで、大谷選手にオファーすることになりました。企画書には我々のブランドの姿勢と大谷選手の活躍がリンクする部分があるというのをたくさん書きたかったのですが、時間のない大谷選手に想いと企画がシンプルに伝わるように、A4の1枚にまとめたものをお送りしました」
世界的スターだけに『ハードルは高いですよ』と代理店から言われていたが、大谷は『ダンロップさんとの契約は前向きに考えています』とメッセージが。そしてオファーから1カ月ほどで快諾の返事があったという。
年が明けた1月に向けて準備を進めたというが、懸念されたのは大谷のひじの手術だった。
「大谷選手と同様、ベーブ・ルースも二刀流で知られた選手。それだけに、CMでは投げたり打ったりしてもらう企画も当初は考えていました。ただ、当時は大谷選手が右ひじの手術をしたばかり。無理な動きはさせられないと、動きのあるシーンはナシになりました。
さまざまなプランを検討した結果、最終的にはベーブ・ルースが大谷選手に語りかけるという演出に。大谷選手を起用していながら、大谷選手はほとんどしゃべらないという贅沢な形となりました」
だが、偉大な記録を打ち立てたベーブ・ルースがその記録を塗り替えた大谷に語り掛けるという構成は奥行きを感じさせる。野球の神様にたたえられた大谷の表情は、少し照れくさそうにも見えたーー。
撮影が行われたのはアメリカ ロサンゼルス。ベーブ・ルース役には全米から“そっくりさん”が選出され、特殊メイクとCGでさらに“そっくり”に。
「ベーブ・ルース役の方と対面したとき、大谷さんは『うん、雰囲気ありますよね』とか『似てますね』と言っていました。そして『どうしてもツーショットを撮りたい』と言われたので、その場で何枚か記念撮影したんです。すると1カ月ほど経った頃、大谷選手が『ベーブ・ルース役の彼とのツーショットをぜひインスタに載せたいんだけど、いいですか?』と聞かれました。ダンロップとの契約はまだ発表前だったので、『匂わせるようなことがなければ大丈夫です』とお返事しました」
そうして投稿されたのが3月10日。《Finally got to meet him!(ついに彼に会えた!)》と、喜びのコメントが添えられていた。
「子どもたちが野球をするのを眺めるシーンでは、やっぱり子どものなかには良いバッティングをする子もいるんです。そのときには大谷選手も手を挙げて『ナイス!』と声をかけたりしていましたよ。保護者の方たちには大谷選手の撮影をすると事前に伝えておらず、当日大谷選手を見てかなり驚いていましたね。子どもたちは意外に冷静でした(笑)。
撮影終了時には写真を撮ろうということになりましたが、大谷選手は『先に子どもたちと』と子どもを優先して撮ってくれました。ハイタッチしたり握手したり、近くにいる子の肩を揉んだりもしていて、子どもを大事にする大谷選手の人柄を感じました」
撮影現場には、大谷は“パートナー”をともなって現れたという。
「デコピンくんが一緒に来たんですよ。はじめは控室にいましたが、スタジオを移動するときや外のロケのときにも大谷選手の後ろをずっとついて歩いていて、とても可愛かったですよ」
実は、アメリカはペット同伴可のスタジオも多い。
「大谷選手はほかの撮影でもデコピンを連れてきていたという話を聞いていたので、うちの撮影にももしかしたら連れてきてくれるんじゃないかと思っていたら本当に来てくれました。撮影の合間に大谷選手がデコピンくんとハイタッチしていましたよ。デコピンくんもずっとわちゃわちゃしていて、大谷選手のことが大好きなんだと伝わりました」
撮影時間自体は短かったが、それでも大谷は真摯に臨んでいたという。
「撮影が終わったときに少し会話する時間がありまして。『今回撮影にご協力いただいて感謝しています。大谷選手はご自身の活躍で常識を覆し続けた方なので、我々も大谷選手と同じ勢いで革新的なメーカーになっていきます』と伝えました。大谷選手からは『ぜひ頑張ってください。応援しています』と言っていただきました」
「世界よ、驚け。」は、ダンロップのキャッチコピーのひとつ。大谷も、今後も世界を驚かせ続けるのだろう。
09/28 06:00
女性自身