ようやく果たした責任=貴景勝、大関で初の賜杯―大相撲11月場所

優勝決定戦で貴景勝(左)は押し出しで照ノ富士を下す=22日、東京・両国国技館

 貴景勝に迷いはなかった。照ノ富士に本割で敗れ、持ち込まれた決定戦。先に手をついて待ち、しっかりと低く踏み込んでいく。相手を突き起こすと、休むことなく攻め、一気に勝負を決めた。
 持ち味を存分に発揮し、大関での初優勝。「大関に上がってからあまりいいことがなかった。この結果をうれしく思う」。初日から両横綱が休み、朝乃山、正代と2人の大関もけがで途中休場した今場所。出場最高位としての責任も果たした。
 小結だった2年前の九州場所で初めて賜杯を抱いた。「夢みたいだった。何が起きたか分からなかった」と振り返るが、今は常に優勝争いを求められる立場。「変なところは見せられない。1回目の優勝とは違う」と新たな喜びをかみしめた。
 多くの人に支えられた賜杯獲得でもあった。新大関で臨んだ昨年夏場所で右膝を負傷。2場所での陥落も経験した中、将来を考え、我慢を教えてくれた千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)ら周囲の助けで困難を乗り越えた。「一人では優勝できなかった」。苦さを味わったからこそ、感謝の思いもより強くなるのだろう。
 来年の初場所で横綱昇進に挑む。「一生懸命、自分と向き合って頑張りたい」。落ち着いた口ぶりで決意表明する大関には、最高位を目指す気概があふれていた。 

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