【スーパーGT】第4戦 今あらためて想いを馳せたGT300クラスの魅力、#61 SUBARU・BRZ今季初優勝

第3戦から約2ヵ月のインターバルを経て、スーパーGT第4戦が8月6日、7日に開催された。

舞台となった富士スピードウェイは前週までの猛暑から一転、予選が行われた土曜日は気温が22℃までしか上がらず、決勝が行われた日曜日もスタート時の気温は27℃と、どのチームにとっても想定外のコンディションに。したがってレースは荒れるのではと予想された。

しかし、GT500クラスの方はもともと富士に強いトヨタ・スープラ勢と第2戦の富士で強さをみせたニッサンZ勢の中の、サクセスウェイトが比較的軽い#24コンドーレーシング・Z(佐々木大樹平手晃平)、#37トムス・スープラ(サッシャ・フェネストラズサッシャ・フェネストラズ)、#12インパルZ (平峰一貴ベルトラン・バゲット)の3台が4.563m×100周というシリーズ最長のレースで終始トップを争い、2回目のピットインでピット作業の速さに勝った37号車が優勝するというオーソドックスな展開となった。

■GT500クラスにはない魅力

勝負の決め手となったピット作業、そして順位が入れ替わったのかどうかが分かるコースインの瞬間は非常にスリリングで見応えがあったのだが、“レースはやはりコース上でのバトル”というファンであれば、今回はGT300の方に熱狂したのではないだろうか。

これまで当コラムであまり触れていなかったGT300クラスは、統一されたレギュレーションに則ってトヨタ、ニッサン、ホンダの3メーカーが製作したGT500 クラスの車両とは異なり、FIA-GT3JAF-GTGT300マザーシャーシの3つの規定に適合した車両が混在する。したがっておおよその性能は調整されているものの国内外の多数のメーカーによる多彩な車両の個性までは調整できず、これがGT500クラスにはない魅力を創出する。

その場面はレース終盤に訪れた。ポールの#65 LEON・AMG(蒲生尚弥篠原拓朗)、次にトップに立った#4 グッドスマイル・AMG(谷口信輝片岡龍也)がトラブルで脱落し、最後にトップを争ったのが#11 GAINER・GT-R(安田裕信石川京侍)と #61 SUBARU・BRZ(井口卓人山内英輝)。

この2台の特性は、簡単に言うと61号車のBRZはコーナーが速いクルマで、11号車のGT-Rはストレートが速いクルマ。追う61号車は残り10周目あたりで11号車を射程圏に入れ、テクニカルセクションのセクター3で近づき最終コーナーで前に出た。普通はこれで勝負あり、だ。しかし、その後11号車はスリップを使うことなくストレートで再び61号車の前に出てトップを譲らず。この展開は次の周も同じで、やはり最終コーナーで前に出るも61号車は11号車に差し返された。

富士のストレートは約1.5kmと長く、これでは最後までオーバーテイクは叶わないのではと、そのあたりで感じた。しかし61号車はあきらめることなく何度もチャレンジ。そしてついに残り5周となったところで11号車の差し替えしを防御し、そのまま次のテクニカルセクションでリードを築くと、今季初優勝を手にした。

山内、安田ともにまったくミスのない、クルマのポテンシャルをギリギリまで引き出した、実に見事なバトルだった。GT500クラスでもセッティングの方向性も含め多少の特性差が出るにしろ、これほど極端ではない。スーパーGTではそんな、2クラスの異なる魅力あるレースが同時に行われている。

いかがだろうか。一度ぜひサーキットに見にいってみては……。

著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。

ジャンルで探す