“リレー侍”パリ五輪出場決定 金メダル獲得について五輪メダリスト「バトンパス」と「コンディション保てるか」が重要【Nスタ解説】

パリオリンピックの予選を兼ねている世界リレー。男子4×100m、4×400mリレーで出場権を獲得。決勝ではともに4位となりました。

北京五輪銀メダリスト「サニブラウン選手抜きでもメダル争いができた事は収穫」

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山内あゆキャスター:
世界リレーが行われ、日本代表は決勝の男子4×100mリレーで4位、4×400mリレーも4位となり、準決勝で勝利していたため、2種目ともパリオリンピックの出場権を獲得したということになります。

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特に4×100mリレーの決勝メンバーは大変若く、4人中3人が大学生です。
山本匠真選手(21)が広島大学
栁田大輝選手(20)が東洋大学
上山紘輝選手(24)は社会人(住友電工)
三輪颯太選手(21)が慶応大学
だということです。

このメンバーについて、北京オリンピックの銀メダリスト・高平慎士さんは、「決勝でサニブラウン選手抜きでもメダル争いができた事は収穫」と話しています。

4×100mリレーの今後、まずはメンバーについてみていきます。

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サニブラウン・A・ハキーム選手は25歳です。「リレーメンバーの中で一番年下」という印象でしたが、「こんなにお兄さんになって」という感じです。高平さんは「素晴らしい走りだった。100mで今季9秒台が出るのは時間の問題」としていて、好調なようです。

栁田選手(20)について「バトンパスが2回ある難しい2走を任せられる選手に育っている」、上山選手については「どこにいても安定的なパフォーマンスが出せる」と評価しています。

井上貴博キャスター:
今回の世界リレーで金メダルを取ったアメリカのタイムは日本記録とほぼ変わらないということです。日本もオリンピックで日本記録を出すことができれば、金メダルが狙えるということだそうです。

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ハロルド・ジョージ・メイさん:
リレーという競技は、「バトンリレー」が一番ポイントだと思います。

バトンリレーについて日本が素晴らしいというのは、練習もそうですが、日本独特の連帯責任というか、責任感という文化が影響しているのかなと思います。

1人がバトンを間違えたら、みんなが走ることができなくなるという点で、「迷惑をかけたらいけない」という“責任感”があるように感じます。

海外は個人主義で、「自分が勝てばいい」という雰囲気で、学生のときも、“みんなでやる競技”があまりありません。日本では玉入れや綱引きなどがありますよね。私の持論ですが、日本では「みんなで頑張る」という雰囲気があると思います。

ホラン千秋キャスター:
誰かのためにも頑張らなくてはならないときほど、力を発揮できるというんでしょうか。

ハロルド・ジョージ・メイさん:
「失敗はダメ」「みんなに迷惑がかかる」という気持ちがあるように思います。

井上キャスター:
見ているほうも、より感情移入できる部分はあるかもしれません。

“リレー侍”金メダル獲得のカギは「バトンパス」の事前練習と長期間のコンディション保持

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山内キャスター:
パリオリンピックの最終メンバーは、6月の日本選手権後に決定します。

高平さんによると、「まずは100mや200mの代表になる事が求められる」ということで、100m、200mの代表の中からリレーメンバーを組んでいくことになるといいます。

小池祐貴選手(28)
多田修平選手(27)
山縣亮太選手(31)
桐生祥秀選手(28)
飯塚翔太選手(32)
坂井隆一郎選手(26)

といった9秒台の記録保持者や、日本記録保持者、これまでの五輪に出場した選手と、今回の世界リレーに出場した若い選手たちが切磋琢磨していくことになるようです。

ホランキャスター:
ずっと輝いている選手もいますし、選手層がどんどん厚くなっているのを感じますね。

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山内キャスター:
“リレー侍”が金メダルを獲るにはどうしたらいいのか、高平さんに聞いてみると、2023年の世界陸上、100mで6位に入ったサニブラウン選手の出場が欠かせないということです。

バトンパスなどの事前の練習や、オリンピック開催中に、選手たちが長い期間コンディションを保てるかというところが重要になるそうです。

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例えば選手が100m、200m、4×100mリレーの3種目に出る場合、約1週間、良い状態をキープしなければならず、大変だということです。

サニブラウン選手は、東京オリンピックは200mに専念していたため、リレーには出場したことがありませんから、「コンディションを保てるか」などというのは重要になってきそうです。

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オリンピック出場権を獲得後のインタビューで、サニブラウン選手は「試合数を重ねて、パリ五輪ではもっと良いバトンパスができれば、金メダルも狙えてくると思う」と、自信を持って話していました。

井上キャスター:
これまではリレーに照準を合わせるという選手が多いといわれていますが、今は個人でも狙える選手が多く、より日程調整が難しいようですね。

ハロルド・ジョージ・メイさん:
いろいろなスポーツで日本のレベルがどんどん上がっていて、オリンピックや野球など世界の舞台で活躍していて、すごいですよね。

ホランキャスター:
他国の選手たちも、オリンピックに合わせてもっとレベルを上げてくると考えると、気が抜けない数か月になりますね。

ハロルド・ジョージ・メイさん:
それが面白いですよね。向こうも合わせてくるから、日本は違う作戦を考えて…となります。勝負は1回というのがスポーツの楽しみですね。

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<プロフィール>
ハロルド・ジョージ・メイさん
日本コカ・コーラ副社長やタカラトミー社長などを歴任
現在 パナソニック社外取締役、アース製薬社外取締役など
オランダ出身、日本在住30年以上

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