岩井姉妹が地元・埼玉でワン・ツーフィニッシュ達成! 千怜は自身初のシーズン3勝目、明愛は直ドラ炸裂で2位に

国内女子ツアー第33戦「樋口久子 三菱電機レディス」最終日、岩井千怜(いわい・ちさと)が通算16アンダーで今季3勝目、ツアー通算7勝目を飾った。

そろってギャラリーを盛り上げるポーズも

◆国内女子プロゴルフ

樋口久子 三菱電機レディス 10月25~27日 武蔵丘ゴルフコース(埼玉県) 6650ヤード・パー72

 まるでVTRを観ているかのようだった。最終18番パー5、約4・5メートルのバーディパットを沈めて優勝を決めると、岩井千怜がギャラリーを盛り上げるために何度も両手を挙げて見せた。実は約40分前、同じ18番を舞台に岩井明愛も両手を挙げてギャラリーを盛り上げていた。ピンまで残り249ヤードの位置から直ドラで2オンに成功した直後だ。

今季3勝目を飾った岩井千怜

今季3勝目を飾った岩井千怜

「本当にギャラリーの皆さんからはパワーをいただいたと感じましたし、それに応えるためにも盛り上げたいという気持がそうさせたんだと思います」と明愛が振り返る。一方、千怜はラウンド中から「最終ホールでそのポーズをやってみたいと思ってました」という。

 ただ、どちらも互いが盛り上げポーズを行っていたことを知らず、「それはビックリですね。そこまで一緒になるとは思わなかったです」(千怜)と、時間差のシンクロナイズに驚いていた。

 現在、メルセデスランキング3位の明愛と5位の千怜だが、成績以上に心掛けていることがある。応援してくれるギャラリーをワクワクさせるようなプレーをすることだ。自分たちがゴルフを楽しむと同時に、観ている人にも楽しんでほしい。ある意味プロとして大切なショーマンシップを持つ数少ないゴルファーなのだ。

 地元である埼玉県開催の大会となれば、その気持ちはさらに強くなる。知人や友人が数多く会場に駆けつけ、他のギャラリーからも地元出身の2人を応援する声がいつも以上に聞こえてくるのだから、自然な流れだろう。

初日終了後にパッティングの距離感をアジャストした

 ギャラリーを楽しませたうえで成績を残すことができれば最高だ。明愛は直近の2試合では3位、2位だったが、今大会ではショットの調子がそれほどよくなかった。にもかかわらず、最終日は積極的にピンを攻め、8つのバーディーを奪って通算14アンダーでフィニッシュ。4位から2位にまで順位を上げた。

 一方、最終日を首位で迎えた千怜もスコアを4つ伸ばし、通算16アンダーに。2位の明愛、吉田優利に2打差をつけて今季3勝目&ツアー通算7勝目を飾った。姉妹でワン・ツーフィニッシュを飾ったのは昨年の「RKB×三井松島レディス」以来2度目だが、地元では初の快挙だ。

 実は、初日を4位で終えた後、千怜はパッティングの距離感をアジャストしたという。「8割ぐらいがショートしてグリーンのスピードに対応できなかったんです。ラウンド後に5ヤード、10ヤード、15ヤードの距離をイチから合わせる練習をしたことでタッチが合ってきました」。初日30だったパット数が27→26と減ってきたことも勝因の一つだろう。
 12月には米女子ツアーの最終予選会を控えている岩井姉妹。次戦は「TOTOジャパンクラシック」になるが、仮に優勝したなら来季の米女子ツアー出場権を獲得できる。当然、そのことは頭の中に入っているだけに、いい流れで次戦を迎えることができそうだ。

岩井 千怜(いわい・ちさと)

2002年7月5日生まれ、埼玉県出身。双子の姉・明愛(あきえ)とともに、高校ゴルフの名門・埼玉栄高のダブルエースとして活躍。同校を8年ぶりの全国高等学校ゴルフ選手権・団体戦優勝に導いた。21年にプロテスト合格。22年は「NEC軽井沢72ゴルフ」で初優勝、翌週の「CAT Ladies」で2週連続優勝を達成。24年は開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」、「RKB×三井松島レディス」で勝利を挙げた。Honda所属。

ジャンルで探す