ウェイティングから優勝した選手っているの? 意外と複雑なトーナメントの欠員補充システムを分かりやすく解説

出場予定だったにもかかわらず、急な故障や病気によって出場をキャンセルする選手は意外と多くいます。その出場枠を埋めるために存在するのがウェイティングシステムです。ところで、具体的にどのような決まりごとがあるのでしょうか。

ウェイティングするには現地での登録が必要

 JLPGAツアーの場合、トーナメントのエントリーは意外と早く、7週前の金曜日から始まります。3週前の金曜日に締め切られますが、この時点でエントリーしていなければ、たとえシード権を保持していても欠場者とみなされます。

 たまに聞く「エントリーミス」とは、この間にエントリーしていないことで欠場扱いになることです。

 欠場者が多く、トーナメントの出場枠に人数が達していないと、出場優先順位(QTランキングまたはリランキングの上位者)から補充されます。これは前週の金曜日17時まで行われ、それ以降に欠場者が出ると、現地ウェイティングの選手から補充されます。

富士通レディースで人生初の「現地ウェイティング」した原英莉花 写真:Getty Images

富士通レディースで人生初の「現地ウェイティング」した原英莉花 写真:Getty Images

 現地ウェイティングをするにはトーナメント会場でウェイティングの登録をしなければいけません。その登録できる期間は、大会初日の2日前と前日の8時から17時までとなります。登録をした選手は、出場選手と同じように練習ラウンドができ、ドライビングレンジでボールも打てます。

 補充される順番はやはり出場優先順位からですが、一般的にウェイティング登録をした選手の方が欠場者よりも多いので、わざわざトーナメント会場にまで行ったのに、出場できずに帰途につくことも珍しくありません。

 ただ、交通の便があまりよくない地域で開催するトーナメントでは、欠場者の枠が埋まらずに初日をスタートすることもあります。

 ウェイティングは初日の朝まで行われますが、希望する人は第1組がスタートする1時間前までに会場へ行き、所定の用紙に署名し、居場所を明確にしなければいけません。さすがに初日になって欠場を表明する選手はあまりいませんが、それでも次点で出場できるような選手は、わずかな希望に賭けてウェイティングしにくるようです。

ウェイティングからの優勝は過去2人

 今年の富士通レディースでは、原英莉花が人生初の現地ウェイティングをしていたことが話題になりました。

 米女子ツアーの2次予選会に出場予定でしたが、大型ハリケーンの影響で延期に。渡米前日にそのことを知ったため、急きょ富士通レディースへの出場を考えたとのこと。

 本来ならシード選手のため堂々と出場できるはずでしたが、一度欠場の表明をすると出場優先順位は最下位となります。そのため、原以外にウェイティングの選手がいる場合、その選手らが欠員補充されない限り、原には出場権が回ってこないわけです。

 会場が千葉県ということもあり、今回はウェイティングの選手が多く、原以外にも出場できなかった選手は数名いたようです。ちなみに、現地ウェイティングから優勝した選手は過去に2人います。

 17年ゴルフ5レディスのO・サタヤと18年マンシングウェアレディース東海クラシック香妻琴乃です。たとえ試合に出場できなかったとしても、会場での練習ラウンドや練習自体は認められているだけに、ウェイティングにはそれなりのメリットはあるといえるでしょう。

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