「自信を持って打てなくなっていた」 金谷拓実 5打差逆転Vで見えた賞金ランキング1位 自身を見つめ直して得たものとは?

国内男子ツアー「ACNチャンピオンシップ」は、金谷拓実(かなや・たくみ)が通算20アンダーで今季2勝目、通算7勝目を飾った。

この優勝で自信を取り戻せた

 国内男子ツアー「ACNチャンピオンシップ」は、通算20アンダーで72ホールを終えた金谷拓実がH・W・リューとのプレーオフを制し、今季ツアー2勝目、通算7勝目を飾った。2週連続優勝を狙い、単独首位でスタートした幡地隆寛は75と崩れ、19位タイに終わった。

今季ツアー2勝目、通算7勝目を飾った金谷拓実 写真:JGTO Images

今季ツアー2勝目、通算7勝目を飾った金谷拓実 写真:JGTO Images

 大会3日目を終えた時点で、金谷拓実は首位と5打差の通算12アンダー6位タイにいた。逆転するにはビッグスコアが必要と考え、1つでも多くのバーディーを奪うことを自分に課した。序盤の4ホールこそパープレーが続いたものの、5番ホールから怒涛の4連続バーディーを奪取。後半に入っても金谷の勢いは止まらない。11番ホールから3連続バーディーを奪い、16番ホールではこの日8個目のバーディーを決める。スコアも通算20アンダーまで伸ばして単独首位に立ち、そのまま逃げ切るかと思われた。ところが、金谷を猛追する選手がいた。2つ前の組で回っていた43歳のベテラン、H・W・リューだ。

「プレーオフは2戦2勝だったので、そこに持ち込めば……」。リューはそう思いながら最終18番ホールでバーディーを奪い、通算20アンダーとして金谷を待った。

 一方の金谷は正確な状況を把握することなく、自分のプレーに集中。ただ、感覚的に「18番でバーディーを奪えば多分優勝できるだろう」と考えていた。その考えは正解だったが、狙い通りには事は運ばずパーに終わる。リューの思惑どおりに決戦はプレーオフへ。

 好調の2人だけに長引くかと思われたが、勝負はあっさりと決着する。18番パー5で行われたプレーオフ1ホール目、第1打、第2打を左ラフに打ち込み、パーに終わったリューに対し、金谷は第2打をグリーン左のバンカーに入れたものの、1メートルに寄せてバーディーを決めた。アゴの高いバンカーからはピンまで30ヤードあったが、しっかり寄せ切った金谷の技が光った。

「72ホール目でバーディーを奪えず、長引かせて申し訳ないです」と、試合後に行われた18番グリーン脇でのインタビューではギャラリーの笑いを誘った金谷。本戦を含めてこの日9つ目のバーディーが勝利を呼び込んだが、「今回の優勝で自信を取り戻せたかな」と笑顔を見せた。

賞金ランキング2位に浮上

 開幕戦の東建ホームメイトカップを制したとき、今季2勝目を挙げるまでこれほど時間を要するとは金谷自身も思わなかっただろう。

「しっかり練習しているのに結果が出ないのはすごく悔しかったですが、ゴルフを見つめ直すのにいいきっかけになったと思います」。見つめ直したいい例が9月初旬に千葉で3日間行った合宿だ。特に集中したのがパッティングだった。

「メジャーに出たときにパッティングがよくなくて、自信を持って打てなくなっていたときがありました」。確かに、1位のパーキープ率、パーオン率、トータルドライビングと比べて、他のスタッツと比べて11位の平均パット数はやや落ちる。合宿では、再現性を高めるために、アドレス、ストローク、目線をチェックしたという。今大会では24個のバーディーを奪ったが、パッティングの調子が上がってきたことも大きいのは間違いない。

 今回の優勝で獲得賞金が8570万7222円となり、賞金ランキングも2位に浮上。1位の平田憲聖とは1952万57円差だけに、逆転賞金王は十分ある。2戦後の「三井住友VISA太平洋マスターズ」終了時点で1位なら、米下部ツアーの最終予選会から出場できる。最終的に賞金王なら欧州ツアーへの道も開ける。海外志向の金谷にとって、さらにギアを上げる季節となってきた。

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