スイングの「悪いクセ」は利き目が影響しているかも!? 知っておきたい「利き目から来るスイング傾向」とは?

手や足と同じように目も優先的に使う方を「利き目(優位眼)」といいます。「利き目」によって、ゴルフスイングの「クセ」傾向が異なるといわれていますが、アマチュアの多くは「自分のクセ」を把握していないそうです。「利き目」の違いがスイングにどのような影響を及ぼすのか聞きました。

「利き目」の違いに有利or不利はない

 右打ちのゴルフスイングでは「左利きが有利」といわれているのと同じく、昔は「利き目」も左が有利だといわれていた時代があります。

左右の「利き目」の違いでスイングの傾向とクセが決まる

左右の「利き目」の違いでスイングの傾向とクセが決まる

「利き目」とは対象物を見て脳が優先的に情報処理する優位眼のことで、指で作った輪の中に対象物を入れ、片目ずつ目をつむることで簡単に調べることができます。

 アマチュアの場合、正面からスイングを見た時「利き目」をボールに近づけるように、頭の向きを無意識に傾ける傾向があります。ですが、プロは左右どちらの「利き目」か分からないほど「自分のクセ」とうまく付き合いバランスを整えている場合が多いです。

左右の「利き目」によってボールを見る時の頭の向きや距離感が変わるため、スイングにもクセや傾向が変わる

左右の「利き目」によってボールを見る時の頭の向きや距離感が変わるため、スイングにもクセや傾向が変わる

 左右どちらの「利き目」であってもスイング中にメリットとデメリットの両方が存在しています。「利き目」のメリットを知り、デメリットを調整すると誰でもスイングのバランスを整えることができるのです。

「左利き目」は右にスエーせず「捻転しやすいく頭が残る」メリットがある

 利き目が「左」の人がスイングをした場合、左目をボールに近づける傾向が強くなります。「チンバック」と呼ばれる顔をボールよりも右側に向ける動きになるため、右にスエーしなくても体を捻転しやすく、インパクトでもヘッドアップせずにボールが見えるため「有利」といわれていた時代がありました。

左目をボール近づける傾向が強い「左利き目」の人は、スエーせずバックスイングの捻転がしやすくヘッドアップもしづらい。反面、上半身が目標に傾くトップにもなりやすい

左目をボール近づける傾向が強い「左利き目」の人は、スエーせずバックスイングの捻転がしやすくヘッドアップもしづらい。反面、上半身が目標に傾くトップにもなりやすい

 事実、トッププロには「左利き目」の選手が多く、カッコいい「頭が残ったインパクト」が印象的です。

 最近は主に「スイングの前半は左利き目が有利」といわれています。ですが、何事も偏り過ぎるとデメリットも発生します。特にバックスイングで体重移動せず、いきなり目標方向に倒れ込む「ギッタンバッコン」のトップになったり、クラブを高く上げ過ぎて「アウトサイドイン」軌道になりやすいので注意が必要です。

「右利き目」はクラブコントロールがやりやすい

「右利き目」の人は、インパクトで「首を傾げた」ちょっとクセの強いフォームになりやすいのが特徴。

 バックスイング時に右目が遠ざかるのを嫌うため、広めのスタンス幅でアドレスし捻転が不足した「右スエー」になる傾向があります。スエーしやすいこともあり、昔は「左利き目が有利」といわれていましたが「右利き目」にもメリットはたくさんあります。

「右利き目」の人はバックスイング時の「右スエー」と「捻転不足」になりやすい。反面、オーバースイングになりづらくクラブの運動コントロールがしやすい

「右利き目」の人はバックスイング時の「右スエー」と「捻転不足」になりやすい。反面、オーバースイングになりづらくクラブの運動コントロールがしやすい

 バックスイングで頭を傾けないためオーバースイングになりづらいのです。コンパクトなトップからインサイドアウト軌道で振りやすく、ドローを打つのに適しています。

 また目標方向が見やすいので、フォースルーからフィニッシュにかけてクラブの動きをコントロールしやすい傾向があります。いわゆる「前でさばく」感じのスイングがしやすいのが「右利き目」のメリットです。

 特に意識しなくてもできることと、「利き目」の影響で苦手な動き理解して工夫すれば、「どっちの利き目でも関係ない」スイングになるはずです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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