「アンダーが6人」に終わった女子ゴルフ最終日 グリーンの速さは「14.75フィート」でマスターズ以上だった!?

国内女子プロゴルフの公式競技初戦「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」は韓国のアマチュア、リ・ヒョソンの劇的逆転勝利に終わった。最後まで分からない試合展開は大いに盛り上がったが、それを演出した一つにコースセッティングがあったことは間違いない。

風の強さによってスピードは刻々と変わる

◆国内女子プロゴルフ メジャー第1戦<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 5月2〜5日 茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県) 6665ヤード・パー72>

 韓国のアマ15歳、リ・ヒョソンの劇的な逆転勝利に終わった国内メジャー初戦「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」。今大会で各選手が連日のように語っていたのが、グリーンのスピードと硬さだった。

最終日2バーディー、1ボギーと数少ないアンダーパーの1人となった佐久間朱莉 写真:Getty Images

最終日2バーディー、1ボギーと数少ないアンダーパーの1人となった佐久間朱莉 写真:Getty Images

 4日間のスピードは初日が14.25フィート、2日目が14.5フィート、3日目と最終日が14.75フィートで、コンパクションは連日25mmに統一されていた。国内女子ツアーでは、ここ数年間、一度も14フィートを超えた試合はなかっただけに、選手にとってはかなり速く感じたようだ。あのマスターズでさえ14フィート程といわれていることを考えれば、どれだけ速かったのか想像できるだろう。

 ただ、面白いのは予選ラウンドで同じ日に回った選手でも、午前組はグリーンのスピードを速く感じたが、午後組はそれほど感じていなかったり、時間帯に関係なく、速かった、それほどでもなかったなど、感想がまちまちだったことだ。

 今回のコースセッティングを担当した茂木宏美はその理由を次のように語る。

「グリーンの数字は朝に測定したものであり、天気によって硬さは刻々と変わります。風が吹けばどんどん乾きますし、風の強さによってグリーンのスピードも変わります。特に、今回のように繊細なグリーンではその傾向が顕著になります」

 ゴルフは自然との戦いといわれるが、まさに選手は自然との戦いを余儀なくされた4日間だったといえる。

 茂木によると、大会前日にかなりの降水量があったため、グリーンが理想の状態になったのは最終日だという。この日は風が強かったこともあり、グリーンは相当速く、硬く感じた選手が多かった。

 優勝争いをしていた昨年の韓国ツアー賞金王、イ・イェウォンが何度もグリーンをオーバーしていたが、グリーンの硬さを計算し切れなかったことが、少なからずあったと思われる。実際、出場選手の平均スコアは75.6769と4日間で最も悪く、そんな状況で5アンダーをマークして逆転優勝を飾ったリ・ヒョソンはやはり別次元のゴルフをしたといえる。

実現できる大会は限られる超高速グリーン

 プレーしている選手は大変だったが、観戦する側にとってはハラハラドキドキの試合展開だっただけに面白い最終日になったのではないか。できれば、今後もこのような高速グリーンでの大会を見たいものだが、そう簡単にはいかないとのこと。

「これほどまでいい状態に仕上げていただいたのは初めてですし、茨城ゴルフ倶楽部のグリーンキーパーやコース管理の方々を始め、ゴルフ場の皆さんのおかげです」(茂木)

 日本の場合、四季がはっきりしているので、芝のいい状態を保てる時期はそれほど長くない。夏の暑い時期に今回のようなセッティングは難しいし、たとえ気候がいい時期でも、雨が多かったり逆に雨が降らなかったりするだけでも芝の生育は大きく変わる。そのような状況下にありながら、最高の状態にグリーンやコースを仕上げてくれたことに茂木は深く感謝していた。

「厳しい条件の下、選手は本当に頑張ってくれたと思います。悔しい思いをした選手もいると思いますが、今回の感覚を自分の引き出しに入れ、同じようなセッティングのときに生かしてほしいですね」(茂木)

 コースが選手を育てるというが、選手にとって貴重な経験となる4日間だったことは確かだろう。

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