「より直接声が届くようになった!」 一流選手はSNS運用も一流【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第141回

選手のSNSなどでの発信について語った山本キャスター


選手のSNSなどでの発信について語った山本キャスター

それにしてもすごい時代になりました。

ひと昔前までは、選手の情報を知ろうと思ったなら、スポーツ新聞を穴が開くほど読み込んで、気になった記事があれば切り抜き、ノートに貼っていたものでした。それがSNSが普及した昨今では、ほぼ"リアルタイム"で選手の思いや考えが知れるようになっています。

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少し前になりますが、日本シリーズ優勝をおさめた横浜DeNAベイスターズの東克樹投手が、登板後に「モーションに入ったタイミングでの指笛はやめてほしい」と発信したことが話題になりました。ファンのマナーが議論されていただけに、多くのファンが見ているXにおいて、効果的に選手の意思が伝わったシーンでした。

選手のSNSとの使い方を見ていると、ここ何年かで色々な使い方をする選手が増えてきたなと感じます。村上選手のように、オフシーズンに入った途端、ご飯のことばかり発信する選手もいれば(笑)、逆にシーズン中に積極的に試合について発信する選手も。

ニュースなどでは報じられないけれど、自分が思っていることを伝えるツールにする。そんな使い方をしている選手もたくさんいますよね。

私の敬愛するダルビッシュ有投手はSNSにおいても、他者と一線を画す"SNSマスター"のひとりとも言えるでしょう。
ファンとの距離が近いところも、SNSならではの強みを存分に活かしているなと感じます。

ダルビッシュ投手が活用している、X、インスタ、Youtubeなどはもちろん、私が一番注目しているのが音声配信プラットフォームを使ったラジオ配信です。「ダルビッシュの言いたい放題」という素敵なタイトルがつけられたラジオは、不定期ではありますが、ダルビッシュ投手のひとり語りを聞くことができます。

このプラットフォームのいいところは、生放送で編集も特になく、思っているままをしゃべっているところ。試合の投球内容だったり、「なぜあの場面であの球を投じたのか」など、ディテールを教えてくれるんです。

夜のプロ野球ニュースで、解説者の方が解説することはありますが、試合直後に本人の口から仔細にピッチング内容が語られるって、昔だったら考えられないことです。

当方SNSはあまり得意ではないほうですが、もう少し頑張らねば。


当方SNSはあまり得意ではないほうですが、もう少し頑張らねば。

音声を届けるラジオなどは不思議なもので、相手との距離がとても近く感じてしまう。私だけに話しかけてくれている、あるいは、その場に自分も参加しているような気持ちにさせてくれる、とても素敵なメディアだと思いました。いい意味でゆるくて、攻めたことができる。本当の"生の声"に、これからも注目したいと思います。

それにしても、ダルビッシュ投手クラスの選手がファンの近くまで降りてきてくれるSNSはすごいですね。そういう時代になったんだなと、あらためてしみじみします。

動画チャンネルも増えましたね。OBの方が開設することが多いようですが、やはり現役時代の活躍を知っている選手の今を知ることができるのはとてもうれしいものです。

テレビ離れが叫ばれる昨今ですが、それと同時に、"ヨウツベ"は私たちにとってとても身近なものになりました。「野球系Youtuber」という言葉もあるように、最近はYoutubeで野球を勉強をする方も多いとか。

ただ、あるコーチの方の言葉でとても印象に残ったのが、「今の時代はいくらでも情報があって、そこから選択することができる。ただ、場合によっては、鵜呑みにしちゃう。そこにはリスクがある」ということ。ある人の教え方が、必ずしも自分にとって正しいとは限らない。それをアジャストしていくのがコーチの仕事なのだと。

動画をあくまでエンタメとして楽しんでいる身としては、もっとたくさんの野球選手に発信してもらいたいと思うと同時に、これは何事にも言えることですが、情報が溢れる中で、自分にとって正しいこと、そして真実を見極める力も大事になるのだと思いました。

みなさんが注目しているSNSの使い手がいましたらぜひ教えていただきたいです。それではまた来週。

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

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