背番号変更は選手の運命を変える?【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第140回

背番号変更について語った山本キャスター


背番号変更について語った山本キャスター

ヤクルトの原樹理投手(16→52)、山下輝投手(15→49)の背番号変更が発表されました。

背番号の変更をどう捉えるかは人それぞれですが、小さな番号から大きな番号への変更は、肯定的に捉えられることはあまりないかもしれません。ただ、そこにはさまざまな事情やドラマがあるのです。

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よくあるパターンは、ドラフト上位で入団する選手に背番号を譲るケースです。今年ドラ1でヤクルトに入団する予定の中村優斗投手が、原投手と山下投手の変更前の15、16をつける可能性は高いと考えます。新人選手には、入団時に球団から番号がいくつか提示出され、その中から選ぶことが多いそうです。

背番号変更は、本来であればもっと活躍できるはずの選手に対して発奮を促す材料であったり、時には最後通告(の一歩手前)と考えることもできます。ただ、必ずしも悲観的に捉えることがないと思うのは、これまで、背番号が大きくなったことに発奮し、もう一度輝きを取り戻した選手がたくさんいるからです。

2009年にドラフト4位で阪神に入団した秋山拓巳投手が、最初に背負ったのは27番でした。しかし7年間で6勝と苦しみ、2017年に背番号が46に変わりました。

すると、同年のシーズンはチームトップの12勝。2020年もチームトップタイの11勝、翌2021年もふた桁勝利を達成し、念願の年俸1億円プレーヤー(推定)となりました。

そして2022年からは、阪神ひと筋だった岩田稔投手がつけていた21番へと"再昇格"を果たします。今シーズン限りの引退を表明した秋山投手に対して、多くのファンが別れを惜しんだのは記憶に新しいところです。

背番号変更はステップアップの機会でもあります。ヤクルトで58番をつけていた長岡秀樹選手が7に変更したのは昨年のこと。入団時から守備には定評がありましたが、今年ついに打撃も開花して最多安打のタイトルを獲得しました(163安打)。

来季の話をするにはなんだか暖かすぎるような、今年の11月。


来季の話をするにはなんだか暖かすぎるような、今年の11月。

怪我の影響もあり、今季は出場機会に恵まれなかった9年目の捕手・古賀優大選手は、来季から背番号2(57→2)に。ヤクルトの"扇の要"中村悠平選手も2021年につけていた大事な番号ですから、これに発奮しないわけにはいかないでしょう。やはりひと桁の背番号は、チームの"顔"とも言える選手がつけることが多いですから、来季の古賀選手の飛躍に期待したいと思います。

ヤクルトで気になる背番号といえば、23でしょうか。今シーズンで引退したレジェンド・青木宣親選手がつけていた背番号で、個人的には青木選手の薫陶を受けていた丸山和郁選手につけてほしいです。そう思うのは、ヤクルトの背番号には系譜があるからです。

「1」は攻守に強みを発揮する内野手。「9」はパンチ力のある外野手、そして「23」は、チームを牽引できる特別な選手。かつては青木さん、そして山田哲人選手も背負っていた番号です。

海外でも、メジャーを代表する選手のひとりであるタティスJr.選手がつけていることもあり、特別な番号というイメージが強いのでしょう。だからこそ、次世代のスター候補として、青木選手と自主トレを行なって"青木イズム"を継承した丸山選手につけてほしい。

先日、ドラフト2位のモイセエフ・ニキータ選手の背番号が31になることが発表されましたが、背番号だけでワクワクできる私たちは、なんとも不思議な生き物ですよね(笑)。たかが数字、されど数字。背番号は野球選手の代名詞だと私たちは知っているのです。

入団投手から期待されていた原投手、山下投手には心機一転でさらに頑張ってほしいと思います。そして、新しい背番号にさらに素晴らしいイメージを与えてほしいです。そういえば、原投手が来季から背負う52は、かつて中村選手もつけていました。背番号はそうやって輪廻して、またすばらしい運命を送ることを待っているのでしょう。

49、52が大復活の象徴になることを期待して、また来週。

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

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