大阪杯は好配当をゲットする絶好の機会 人気先行の4歳牡馬より、GI未勝利の実力馬を狙え

 今週末に行なわれるGIは、古馬の「中距離王決定戦」となるGI大阪杯(3月31日/阪神・芝2000m)だ。

 ただ、この路線の頂上決戦でありながら、出走メンバーの顔触れはかなり寂しい。その点について、デイリー馬三郎吉田順一記者が語る。

「メンバーがやや小粒なのは、ご存知のとおり、本来であればここで中心視される面々が同じ週に開催されるドバイワールドカップデーのレースに参戦。リバティアイランド、ドウデュースを筆頭に、ジャスティンパレス、スターズオンアース、シャフリヤール、ナミュールといったGI馬、さらにダノンベルーガやマテンロウスカイといった重賞ウイナーが不在だからです。おかげで、"中距離王決定戦"と言うには、メンバー的な物足りなさを感じるかもしれません。

 そうした状況にあって、今年の大阪杯は昨年のクラシックを沸かせた4歳勢が中心となり、そのひとつ上の世代のGI馬が復権を狙う、といった図式になっています」

 過去の結果を振り返ってみると、GIに昇格して以降の7年間で1番人気は2勝、2着1回、3着2回。まずまずの成績は残しているものの、伏兵の台頭も頻繁に見られ、予想のうえではかなり難解な一戦となっている。

 しかも、今年は人気になりそうな明け4歳勢のレベル自体が疑問視されており、例年以上に波乱ムードが充満している。

 そんなレースの行方を占ううえで、吉田記者は「ポイントになるのは馬場状態」として、こんな見解を示す。

「先週の土日は雨中での競馬となり、コーナーで芝の塊が多く飛んでいました。直線は内、外、万遍なく悪かったのですが、これは各馬が横に広がったからでしょう。そのダメージがどのくらい残るかですが、今週から仮柵を設けたBコースを使用。コーナーの傷んだ部分はほぼ隠れ、直線もラチから2~3頭分ぐらいに多少の凸凹がある程度でしょうか。

 そして今週は、週中にまとまった雨量がありましたが、金曜日の昼からは晴れて、高気温となっています。風も適度に吹いており、レース当日には馬場もいいコンディションになりそうです。

 ということは、時計は速めで、基本的には前と内枠が優勢なトラックバイアスになると考えていいでしょう。中団以降から差してくる馬にとっては、厳しい馬場と見ます。内回りの芝2000mのコース形態を考慮すれば、なおさらです。

 それらにチャンスがあるとすれば、3角から各馬が動いて前が潰れる、まくり合いの展開になるか、ペースが落ち着いた際にイチかバチかのイン強襲を狙うかでしょうか」

 吉田記者はこうした分析から、2頭の穴馬候補の名前を挙げた。

「4歳勢のレベルが疑問視されていますが、牡馬と牝馬は別と考えています。4歳牝馬の路線ではリバティアイランドが抜けた存在だったとはいえ、速い時計の決着が多く、クラシックの上位陣は評価したいところです。

 ですからここでは、GI桜花賞(阪神・芝1600m)4着、GIオークス(東京・芝2400m)2着、GI秋華賞(京都・芝2000m)3着、GIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)3着と、GI戦線で安定した成績を残してきたハーパー(牝4歳)が狙い目と見ます。

 秋3走目となる前走、GI有馬記念(12月24日/中山・芝2500m)はさすがに9着と揮いませんでしたが、好位から運んで勝ち馬とコンマ7秒差なら、悪くないでしょう。

 今回はゆったりしたローテでぶっつけ本番となりますが、1週前の追い切りでは今までにない反応とキレ味を披露。態勢はきっちり整っていると判断できます。

 器用に脚が使えて、変幻自在に動けるタイプ。阪神の内回り・芝2000mも歓迎のクチ。しぶとい立ち回りもできますが、回転の速いピッチ走法からすれば、一瞬のいい脚を引き出す乗り方も可能でしょう。それが実現できれば、詰めの甘さも十分に補えるはずです」


大阪杯で初のGI制覇を狙うハーパー。photo by Eiichi Yamane/AFLO

 鞍上は関西の若手トップジョッキー、岩田望来騎手が務める。

「今回、有力馬だけでなく、多くのトップジョッキーもドバイへ遠征。昨年のGIで複数勝利を飾っているクリストフ・ルメール騎手、川田将雅騎手、坂井瑠星騎手、武豊騎手がいません。

 つまり、GI未勝利のジョッキーにとっては、大きなチャンスと言っていいはず。岩田望騎手もそのひとり。GI勝ちは同期の団野大成騎手に先を越されましたが、重賞はすでに8勝。機は熟した印象です」

 吉田記者が推奨するもう1頭は、かつてエフフォーリアやタイトルホルダーらとしのぎを削ってきたステラヴェローチェ(牡6歳)だ。

「同馬は、2歳時のGI朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)で2着と奮闘。3歳になってからも、GI皐月賞(中山・芝2000m)3着、GI日本ダービー(東京・芝2400m)3着、GI菊花賞(阪神・芝3000m)4着、さらに有馬記念でも4着と、勝てないまでもGI戦線で崩れるシーンはありませんでした。

 しかし、明け4歳でドバイに遠征したあと、屈腱炎を発症。約1年7カ月の休養を余儀なくされました。

 それでも、そこから戦線復帰。長いブランクによって、すぐには結果を出せませんでしたが、立て直しを図って臨んだ復帰3戦目の前走、リステッド競走の大阪城S(3月3日/阪神・芝1800m)で鮮やかな勝利を飾りました。

 発馬を決めて上々の行き脚を示し、平均ラップを好位でうまく立ち回りました。最重量の斤量58.5kgを背負わされながら、最後の直線でも鞍上の指示にしっかり反応。他馬との競り合いを見事に制しました。そのレース内容は高く評価していいでしょう。

 1週前の追い切りではテンから意欲的に飛ばしながらも、最後まで大きなストライドをキープ。併せた馬に遅れたとはいえ、いい伸び脚を見せて、まずますの時計を計測しました。

 立て直しを図ったおよそ4カ月の休み明けを一度叩いた、その上昇度は計り知れません。脚の使いどころを考えても、内回り・芝2000mの舞台も合っていそう。一発の魅力は大いにあります」

 ハーパーも、ステラヴェローチェも、GIでの好走がありながら、GI未勝利ゆえに人気の盲点となっている。人気先行の4歳牡馬を蹴散らし、実力秘めるこの2頭が好配当をもたらしても不思議ではない。

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