《元横綱・白鵬の苦境》旧・宮城野部屋の九州場所宿舎が取り壊され更地に 期限なき閉鎖で後援会は休止状態「再結成できるかも不透明」な理由
11月10日に初日を迎える大相撲九州場所。地方場所において各部屋の稽古と生活の拠点となるのが部屋宿舎である。神事としての相撲との関係が深い神社や大広間がある寺院を宿舎にするケースもあれば、タニマチと呼ばれる後援者が宿舎を提供することも少なくない。そうしたなか、現地では元横綱・白鵬の宮城野親方をめぐる大きな異変が起きていた。
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九州場所に際しては、先発隊が番付発表までに稽古場に力士の幟を立てるなどの準備を行ない、巡業を終えた関取衆や親方たちが博多入りする。朝稽古が始まると近所の人たちは稽古見学に訪れ、後援者たちは差し入れを持って激励にやってくる。地方では年に1度の本場所を楽しみにしているのだ。
各部屋で朝稽古が始まるなか、昨年まで部屋宿舎があった場所が更地になっているところがあった。今年4月、元幕内・北青鵬の暴力問題で無期限閉鎖となり、同じ一門の伊勢ヶ濱部屋に転籍となった宮城野部屋の九州場所宿舎だ。
2011年以来、宮城野部屋に宿舎を提供してきたのは、同部屋九州後援会の名誉会長で福岡・篠栗町にある寺院「南蔵院」の林覚乗住職で、同寺院内の建物の一部が宿舎として使用されていた。昨年まで宮城野部屋宿舎があった場所を訪ねると、宿舎は別の用途に使用され、稽古場が更地になっていた。
南蔵院の寺務所を訪ねたところ、林住職は「寂しい話だが、宮城野部屋九州後援会が休止状態になった時点で後援会から身を退いたため、事情がまったくわからない」とするのみだった。
「処分の期限が決まっていない」という問題
後援会幹部のひとりはこう話した。
「(九州場所宿舎の)稽古場は老朽化していたので、役員会で今年の九州場所のために建て替えを計画していました。ところが、取り壊したのはいいが、いつまでに稽古場をつくればいいのかもわからない。もちろん宮城野部屋が再興されれば、南蔵院にお願いしてこれまで通り宿舎として提供するつもりですが、今は更地になったままです」
後援会幹部も戸惑いをみせるが、宮城野部屋が無期限閉鎖となった時点で、後援会が宮城野を名乗れなくなったのだという。
「元横綱・白鵬を個人的に応援することしかできない。後援会は休止状態となり、集めていた後援会費はすべて返還しました。会長はじめ会員が高齢化しており、再結成できるか不透明な状況。いずれにしてもこれまでのような活動はできないと思います」
この後援会幹部は「稽古場はプレハブのため宮城野部屋の復活が決まればすぐにでも建てることはできる」とするが、「一番の問題は期限が決まっていないこと」と頭を抱える。
「協会の処分に一貫性があればいいんですが……。親方がこういうことを見逃したら1年閉鎖、といった基準が決まっておれば対応もできるが、明確なものがない。処分を受ける親方によってその内容が違うとなればなおさら。会員に“あと何年待ってください”と言えないのが辛い」(前出・後援会幹部)
差し入れも見学もできない
宮城野親方は処分が決まった直後に後援会関係者宛に手紙を送っている。これで後援会関係者の心が折れたという。
「伊勢ヶ濱部屋預かりとなった時点で、宮城野部屋がないのと一緒。親方や力士への差し入れ、稽古見学もできないと書かれていました。宮城野親方への後援会活動が一切できないということの通達で、年1回の本場所を楽しみにしている後援者たちはへこみましたね。そのまま相撲を見なくなった会員もいるし、近くで宿舎を構える別の部屋の後援会に入った会員もいます」(前出・後援会幹部)
東京、名古屋、大阪にある宮城野部屋の各後援会でも同じ動きがみられるというが、宮城野部屋の部屋閉鎖処分はいつ取り消されるのだろうか。相撲担当記者が言う。
「相撲協会から処分解除への具体的な期間は示されていない。伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)が65歳の定年を迎える来年7月説が有力だが、他にも閉鎖から1年となる来年3月場所後という説も流れている。その一方で、宮城野親方がギブアップして退職するまで続くという説も協会内から聞こえてくる。結局は何も決まっていないということになる」
宮城野親方の言動には賛否がある。ただ、大相撲を愛する支援者まで切り捨てるとなれば本末転倒にも見える。協会の真意は一体どこにあるのだろうか。
10/31 11:15
NEWSポストセブン