「令和のコメ不足」の最中でも“優勝したら米1トン”! 大相撲優勝力士に贈られる副賞のコメが消費される驚異のスピード

幕内優勝力士に贈られる福島県知事賞で米1トンが

 世間を騒がせる「令和のコメ不足」。小売店の店頭で品切れが発生し、価格の高騰も注目を集めている。多くの人がコメの調達に苦労するなか、気前のいい大盤振る舞いがなされている場所もあるという。

【写真】溜席の着物美人が秋場所の向正面に登場。着物選びについて本人が語る。初日に登場したデヴィ夫人は鮮やかな紫のワンピース姿。先場所の溜席でのノースリーブ姿の女優・紺野美沙子も

 大相撲秋場所が開催されている東京・両国国技館。エントランスホールの正面にはガラスケースがあり、幕内最高優勝した力士に贈呈されるトロフィーや副賞が飾られている。

 センターにあるのは天皇賜杯。両脇に優勝旗と内閣総理大臣杯が置かれ、向かって右側にはアメリカ合衆国大統領杯など諸外国との友好杯が並ぶ。反対側には東京都知事賞、福島県知事賞など地方自治体からの優勝杯、NHK金杯や大関賞といった企業からの優勝杯が並べられている。

 それらトロフィーの前で記念写真を撮ってから自分の座席に向かうファンも多いが、今場所はそこで雑談に花を咲かせる観客も目立つ。話題になっているのは、トロフィーの傍に明記してある副賞のようだ。例えばメキシコ友好楯なら「コロナ・エキストラビール1年分」といった具合に記されているが、今場所で注目されているのは福島県知事賞の副賞だ。

1トンが2か月でなくなる!?

 福島県知事賞は、赤べこ特製トロフィーの横に「米俵」がドンと置かれ、「天のつぶ」と書かれている。この福島産のブランド米が、副賞として1トン贈られるのである。

 ようやく新米が出回り始めたものの、世間はまだまだコメ不足に悩まされている。そうしたなかでの「優勝の副賞で米1トン」が注目を集めるのは当然だろう。現地では「米1トンって何合?」「相撲部屋だとどのくらいもつの?」といった話でファンたちが盛り上がっていた。

 1トンは約6667合と換算される。一人暮らしで1日2合炊いている人を想定すると、1トンは10年分近い量となる。しかし、そこは相撲部屋。事情はだいぶ違ってくる。協会関係者が言う。

「相撲部屋は44あり、1部屋平均約15人の力士が所属している。そうした平均的な規模の部屋が1食に炊くコメの量は大体5升(7.5キロ)ほど。昼と夜の2食だと1日に15キロ、1か月で450キロを消費していることになる。

 つまり優勝の副賞となる1トン分という大量のコメも、相撲部屋では約2か月分にしかならない。とはいえ、この令和のコメ不足の状況下では、どの部屋も副賞としてコメがもらえてありがたいのはたしか。優勝争いを引っ張る関脇・大の里は5月の夏場所も制しているが、2度にわたり大量のコメを手に入れれば、部屋の運営に相当貢献しているという話にもなってくる」

うずらの卵が贈られるワケ

 一方、地方自治体からの優勝杯は地元開催の地方場所のみというパターンが少なくない。3月に大阪で開催された春場所では、大阪府知事賞として「地酒72本、青唐辛子味噌120本、岩おこし1000枚、551蓬莱豚まん370個、究極の和プリン144個、小倉屋山本だしパック750パック、河内もなか350個、醤油72本、黒糖400袋」が贈られた(毎年内容は一部変更となる)。

 先の7月に開催された名古屋場所は、同場所で初めての優勝となった横綱・照ノ富士が驚いたという副賞もある。愛知県知事賞の副賞として贈られた「うずらの卵の水煮1万個」である。
 
「愛知県では生産量日本一(全国シェア60%)のうずらの卵の水煮を小学校の給食に使かっていたが、今年2月に福岡市で小学生が学校給食のうずらの卵で誤嚥事故を起こして亡くなった。その影響で給食での使用を見合わせたことで在庫の山となった。愛知県が買い取るかたちで、従来の名古屋コーチン(肉100キロ、卵1000個)、花束(バラ、キク等あいちの花 合計200本)に加えてうずらの卵を副賞にしたのです」(地元紙記者)

 副賞の授与は千秋楽を現地観戦しないと観られないものだが、どういった変わり種があるのか、観戦に訪れて一度確かめてみるのも面白そうだ。

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