初Vから3連続優勝がかかる女子ゴルフ・竹田麗央(21)「母も叔母も女子プロ」で考える“ゴルフと血筋”の関係

「パナソニックオープンレディース」に挑む竹田麗央(時事通信フォト)

 史上初となる初Vからの3週連続優勝をかけて「パナソニックオープンレディース」(浜野GC=千葉、4月26日~)に挑む竹田麗央(21)。母にプロゴルファーの平瀬哲子(旧姓で登録)、叔母に1993~1994年の賞金女王に輝いた平瀬真由美を持つゴルフ一家に育ち、母がコーチになって6歳からゴルフを始めた竹田の経歴は、今回の飛躍にどう関係しているのだろうか。

【写真】「母も叔母も女子プロ」な竹田麗央。他、川崎春花・尾関彩美悠・神谷そら・櫻井心那・佐藤心結など輝く女子プロ勢

 竹田は熊本国府高校1年生の時に、勝みなみ古閑美保などプロゴルファーを多く輩出している九州ジュニアで優勝。2021年の日本女子オープンに7位でローアマとなり、その資格で挑戦した最終プロテストで一発合格した。2023年のメルセデス・ランキング22位でシード権を獲得すると、史上4人目となる初Vからの2週連続優勝を飾った。

 ゴルフ一家で育った過去のプロを見ると、尾崎将司、健夫、直道の“ジャンボ三兄弟”や、宮里聖志、優作、藍の“宮里ファミリー”、岩井明愛、千怜の“岩井ツインズ”のように、兄弟や姉妹でトッププロとして活躍する前例は少なくないが、親子で活躍したケースは日本ではあまり見られない。ゴルフジャーナリストが語る。

尾崎将司と智春、中嶋常幸と雅生、杉原輝雄と敏一といった親子のいずれも、子供はプロゴルファーとして成績を残せませんでしたが、米ツアーではボブ・ツエーとケビン・ツエー親子など10組が親子でツアー優勝しているし、全米プロなどメジャー2勝のジャスティン・トーマスは3代続くプロゴルファー一家です。

 その一方で、メジャー18勝を含め通算73勝のジャック・ニクラウスの息子、ゲーリー・ニクラウスはプロを断念してコース設計の道に進んでいる。親が偉大なプロゴルファーの場合、子供が親を超えるような活躍を見せていない」

 女子プロでは、ツアー6勝の川岸良兼・喜多麻子夫妻の次女・川岸史果はツアー2勝を挙げているが、横峯さくら、金田久美子、古江彩佳、笹生優花、菅沼菜々などのように、アマチュアゴルファーの父親を師匠にもつトッププロが多い。竹田麗央の母・平瀬哲子はツアー優勝の経験はないが、叔母・平瀬真由美はツアー19勝(海外1勝含む)の実績を持つ。

血筋か環境か

 プロゴルファーの沼沢聖一氏は「もちろん血筋による才能もあるが、子供の頃から身近にゴルフがあることが大きい」と語る。

「ジュニア時代からゴルフができる環境もあるし、いつもゴルフの話を聞いているので技術的なことを教えられても理解が早い。そういった環境の影響のほうが大きいでしょうね」

 スポーツ紙のゴルフ担当記者もこう続ける。

「活躍する年齢が早くなっており、小学生低学年からゴルフを始め、ジュニアの試合で経験を積まないとツアープロとして活躍できない時代になっている。家族が協力することで子供の頃からゴルフができる環境が重要です。そのためにはゴルフに精通しているプロゴルファーが親というのはアドバンテージがある」

 一方で、こんなマイナス面もあるという。

「プロ野球も同じですが、親が自分の子供の指導をするというのは難しい。子供に甘えが出ることもあるし、名プレーヤーの親は子供に対して“こんなこともできないのか”となりがちです。親が偉大であるほど子供にとってはプレッシャーとなる。ただ、レベル面で考えると男子ツアーより女子ツアーのほうが親から受け継いだ資質を生かせるチャンスがあり、竹田麗央にはさらなる活躍が期待できる」(同前)

 米男子ツアー外競技の「PNCチャンピオンシップ」が毎年12月に開催される。メジャー大会で優勝した選手のみに出場権が与えられ、各選手がツアーカードを持っていない家族とペアを組んで戦う恒例のイベントで、米ツアーのレジェンドたちが親子でタッグを組む。2023年12月にはタイガー・ウッズと14歳になった息子のチャーリー君がタッグを組んで登場した。前出・ゴルフ担当記者が続ける。

「他にもビージェイ・シン、ジョン・デイリー、ネリー・コルダ、アニカ・ソレンスタム、ジャスティン・トーマス、ベルンハルト・ランガー、パドレイ・ハリントン、マット・クーチャーらが家族とペアを組んでいます。日本でもこのようなイベントを開催すれば、第二の竹田麗央が登場するのではないでしょうか」

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