低い攻め、結びで喝采=若隆景、感慨に浸る―大相撲九州場所
結びで浴びる大歓声は格別だった。若隆景にとって久々の光景。番付を幕内上位に戻した実感について問われると、「そういう感覚はある」。普段から口数は少ない。珍しく胸の内を明かすような言葉に感慨がこもっていた。
大の里に鋭く当たり、低い姿勢で攻める。左から強烈におっつけ、相手がたまらず引いたところを一気に押し出した。「前に出ることができた」。先場所に続いて大の里を撃破。粘り勝ちした先場所のイメージは捨て、「自分の相撲に集中して土俵に上がった」と言う。取組後、大きく乱れた大いちょうが無心での取り口を物語っていた。
東前頭2枚目で臨む今場所。師匠の荒汐親方(元幕内蒼国来)によると「体重はマックス。自然に増えている」。右膝の大けがを乗り越え、順調に稽古を積めている証しだろう。若隆景も「場所を追うごとに手応えは感じている」と述べ、強靱(きょうじん)な下半身の復調ぶりを口にする。
地道なリハビリを経て、東幕下6枚目から再起したのが1年前の九州場所。優勝経験を持つ元関脇は三役復帰が見えてきたこともあり、いつも以上に気合が入っている印象だ。「一日一番、自分らしい相撲を取っていきたい」と話す29歳。心身ともに充実している。
11/15 20:26
時事通信社