元プロ野球選手の永渕さん、憂慮と賛辞=経験者が語る二刀流―大谷・満票MVP

米大リーグのア・リーグ最優秀選手(MVP)に輝いたエンゼルス大谷翔平を「二刀流」経験者はどう見たのか。プロ野球近鉄で新人時代に投手と外野手を兼任した永渕洋三さん(79)は大谷の日本ハム時代から一貫して、「打者に専念した方がいい」との考えだ。
その理由は「体力が持たない」。1968年に投手としてプロ入りした永渕さん。「僕のスピードでは通用しない。打撃しか生きる道はない」と感じながらも、左腕不足のチーム事情もあり、二刀流に挑んだ。
代打でプロ初本塁打を放った4月の試合では、次の回からマウンドに上がり、右翼も守った。周囲を驚かせる活躍もあったが、登板は通算12試合。5月末に初先発でKOされ、三原脩監督から「もう投手はいいぞ」と告げられた。永渕さんの胸の内は「やめてほっとした」。
その後は野手に専念し、翌69年に張本勲(東映)と同率の3割3分3厘で首位打者を獲得。酒豪として知られ、漫画「あぶさん」の主人公、景浦安武のモデルにもなった。
自身の苦労から、「今はまだ元気だけど、あと2、3年。無理してやってるから、けがと故障が一番怖い」と27歳の将来を憂慮する。投打両方を磨くためには人一倍の練習が必要。精神的な負担も大きく、「投手は神経を使う。微妙なコントロールはできない」という。
それでも大谷が成功できた秘訣(ひけつ)を「球威がある。あれで持っている」と指摘。160キロを超える直球と変化球の切れが武器の右腕に「プロで両方は大谷だからできている。『天は二物を与えない』と言うけれど、彼は三つも四つもね」と賛辞を惜しまない。経験者だけが知る困難があり、それを打ち破る大谷がいる。

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