イングランドに大敗のエディー・ジャパン「目先の結果にこだわるより先を見据えたチーム作りを」…坂田正彰氏の目

◆ラグビー ◇リポビタンDツアー2024 日本―イングランド(24日、英トゥイッケナム)

 ラグビー日本代表(世界ランク13位)は24日、ロンドン郊外のトゥイッケナムでイングランド代表(同7位)とテストマッチを行い14―59で敗れた。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ率いる日本は24年の代表活動を終了。テストマッチの成績は4勝7敗となった。第2次エディー・ジャパンは「超速ラグビー」を旗印にする中、結果が伴わない苦しい現状だが、スポーツ報知評論家で元日本代表の坂田正彰氏は、将来を見据えてのものだと強調した。 

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 エディー・ジャパン1年目の集大成となるイングランド戦は厳しい結果となった。24年のテストマッチは11戦して4勝7敗。世界ランキング13位の日本は、同ランキング上位国を倒すことはできなかった。

 チームが掲げる「超速ラグビー」は方向性としては正しい。判断力を速く、相手より速く動き、空いているスペースに仕掛ける。海外の強豪国に比べサイズで劣る分、テンポの速いスタイルこそ日本の生命線だ。

 代表チームは昨年のフランスW杯から大きく選手が入れ替わった。27年オーストラリアW杯へ向け、新戦力の発掘と育成を最大のテーマにチーム作りに励んでいる。これは日本だけではなく、世界各国も同じで、イングランドは23人の登録メンバーに20代前半の選手が数多く名を連ね、代表キャップを獲得していた。日本も新戦力の芽は確実に出ているが、試合ごとにメンバーを変えているのが現状で、個人個人は頭で理解していても、チームとして「超速ラグビー」がどれだけ浸透したかと言われれば、まだまだのような気がする。が、ある程度メンバーが固まり、特にタテのラインといわれる2(フッカー)、8(NO8)、9(SH)、10(SO)、15(FB)あたりが固定されていけば、チームに軸ができ確実に変わっていくはずだ。

 日本が速いテンポで攻撃を仕掛けてくることは、今やどのチームも研究している。イングランドはそうさせまいと、ディフェンスで速いプレッシャーをかけブレークダウン(ボール争奪戦、接点)でフィジカル勝負を仕掛けてきた。その結果、SHはプレッシャーを受け、考える時間と速い球出しを阻止された。超速ラグビーのキーマンはSHであり、イングランドがしてきたように、一流国ならば当然ブレークダウンで日本のリズムを崩すことを狙ってくるはずで、ここは今後の大きな宿題だろう。

 そしてポゼッションとテリトリーだ。日本はボールを保持することに重きを置き自陣22メートルライン付近からでも連続攻撃を仕掛けていたが、正直、自陣では得点チャンスはなかなか訪れない。さらにボールを失えば即失点というリスクもある。ここはキックなどを有効に織り交ぜまずは敵陣に進み、そこから仕掛けることを優先してもいいのではと感じた。

 テストマッチ経験の少ない選手を多く起用し、国際舞台で経験を積ませることで実力アップを図る狙いは理解できる。チーム力をアップするには、とにかく選手層を厚くすることだ。若い選手をピックアップし国際舞台に出場させる。個人的には早大の1年生SO服部亮太はキックにランと魅力ある選手だと感じている。第2次エディー・ジャパンに結果は出ていない。それでも目先の結果にこだわるよりも、先々を見据えたチーム作りは間違いないと考える。(1999、2003年W杯日本代表フッカー)

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