MVPのトヨタ・切石結女捕手「打者を見る」W杯世界一で成長 決勝2ラン、攻めのリードで連覇に導く…ソフトボール・JDリーグ

初回、1死一塁から先制2ランを放つトヨタ・切石結女

◆ソフトボール ▽ニトリJDリーグ ダイヤモンドシリーズ決勝 トヨタ 2―1 日立(17日、愛知・パロマ瑞穂野球場)

 日本一を決めるダイヤモンドシリーズ決勝が行われ、レギュラーシーズン西地区1位のトヨタが東地区1位の日立に2―1で競り勝ち、2連覇を飾った。トヨタは初回1死一塁から3番・切石結女(ゆめ)捕手が左越え2ランを放ち、これが決勝点となった。投げては先発左腕・後藤希友(みう)が5回1/3で100球を投げて1失点と粘投。2番手の右腕のメーガン・ファライモに継投し、勝利につなげた。試合後に切石がMVPに選ばれた。

 攻守の軸となり成長を示した。初回1死一塁。3番に入った切石はカウント1―1から高めに浮いた球をとらえた。高く上がった打球はぐんぐん伸びて左越えの一発。二塁を回ると三塁ベンチの仲間に向かって力強く拳を握った。クールな捕手は「ボールが高く上がったので、入ってくれと。いい角度で上がったので良かったです。昨日(準決勝で)チャンスで回ってきたのに打てなくて、後藤選手に『何をしているんだ』とおしかりを受けたので(笑い)今日は打って『頼むわ』と言えたのでうれしかったです」と笑みを浮かべた。

 昨年は主に下位打線を担い、決勝は8番で出場。オフから打撃を大きな課題とし、今季中には「前を大きく」スイングすることに取り組むなど強化し、打線の中軸を担うまでに成長を見せた。

 守備では一発の発奮材料となった後輩エースをリード。4回には日立に3連打を許してピンチを招いたが、後続の右打者は追い込んでから内角への直球で攻めきった。2者連続の空振り三振で切り抜け、後藤が切石を指さし「ナイス」と感謝。切石も後藤の頭に右手でポンポンと優しく触れ「要所で踏ん張ってくれた。ピンチで1ギア上げて投げてくれたので、自分も三振に抑えられてホッとした」と要求に応えた左腕をたたえた。6回には2番手のファライモが日立で代打の保谷蓮を追い込むと、外角に浮き上がるライズボールを見せ、切石はチラッと打者の表情をうかがう。そして2球連続で外角ライズを選択。空振り三振に斬り、右拳に力を込めた。

 パリ五輪開幕前の7月には、五輪種目から外れたソフトボールにとって世界最高峰の舞台であるワールドカップファイナルが開催。切石は後藤らとともに日本代表の一員で日本の10年ぶりの優勝に貢献した。国内と海外勢の打者では抑えられる球や組み立ても変わってくるが「バッターをよく見ることに関しては(大会を)終えて、勉強になった。逃げの方にいっていたので攻める場面は攻めていいと改めて感じた」と学びもあった。チームに戻った24歳は連覇がかかる重圧の舞台で存分に発揮してみせた。

 ソフトボールは28年ロサンゼルス五輪で再び追加種目に加わる。08年北京、21年東京大会に続く五輪での“3連覇”に挑む日本の伝統の強さを支えるのは守備。成長著しい扇の要は「私自身、チームもこれからもっともっと強くなっていけるよう、来年も頑張っていきます」と4年後の夢舞台を目指し、貪欲に高みを追い求める。

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