【マイルCS】「勝てるだけの力がある」世界の名手ライアン・ムーア騎手が初騎乗の欧州トップマイラーに好感触
◆マイルCS追い切り(13日・京都競馬場)
第41回マイルCS・G1(17日、京都)に、外国馬として13年ぶりに参戦するチャリン(牡4歳、英・ヴェリアン厩舎)が13日、京都競馬場の芝コースで追い切った。初めてコンタクトを取ったライアン・ムーア騎手(41)=英国=は「勝てるだけの力がある」と、今年G1・3勝の欧州トップマイラーに好感触。
静けさのなかで叩きつけるような蹄音が響いた。午前7時過ぎの京都競馬場。チャリンが活気あふれる走りで芝コースを駆け抜けた。直線半ばで軽く仕掛けられると、太い前肢から繰り出されるパワフルなフットワークで加速。最後まで集中力を保ち、6ハロン81秒1―12秒2でフィニッシュした。「馬のフィーリングをつかむための調教で、それはできました。コーナリングもスムーズでしたし、息の入りも早かった」と初コンタクトのムーアは好感触をつかんだ。
とにかくタフだ。今年は3月下旬から欧州でコンスタントに走り続け、7戦して5勝2着2回とオール連対。引退レースとなる今回も英国から6日に来日し、京都に移動した前日12日の夕方には早くも芝コースで軽くスクーリングを行った。そして、この日は負荷をかけた調教。「体のつやもよく、健康状態も非常に良好です」とヴェリアン調教師は胸を張った。
欧州馬は11年エリザベス女王杯のスノーフェアリー以来、JRAのG1を勝っていない。その時の鞍上がムーアだった。「長距離輸送をこなすのは大変なことですが、チャリンは馬格があって、かつ速く走ることができる。勝てるだけの力があると思います」。決して大げさではない。チャリンはG1で3勝を含む5戦連続連対中だが、すべてのレースで鞍上はライバルの背にいた。01年以降で3番目に速い1分33秒9で勝ったジャックルマロワ賞など、間近で強さを体感しており「この馬のことは分かっています」と言い切る。
ムーアは15日にバーレーンで行われるG2に騎乗するため、この日夜に現地へ出発。今週末は日曜しか日本で乗れない。多忙のなかで駆けつけた京都で、手応えは深まった。今回をラストランに種牡馬入りが決まっているパートナーを「落ち着いていて、メンタルに優れているのでコントロールしやすい。坂の下りから直線に入るパリロンシャンも走っていて、京都も問題ないと思います」と信頼。確かに伝わる勝負気配。世界を駆け回る名手が有終Vを演出する。(山本 武志)
《ヴェリアン調教師「私が望んでいた通りの動き」》
―ムーアが騎乗して最終追い切りを行った。
「私が望んでいた通りの動きで、とても満足しています。今朝の馬体重は514キロ。まさにレースに最適です」
―参戦の経緯は?
「ずっと前から検討していました。前走を勝ってから、非常に早く回復しましたし、欧州では適鞍もなかったので」
―日本での管理馬の出走は12年以来になる。
「非常にエキサイティングな瞬間でした。(日本には)チャンピオンホースを連れてくるべきだと考え、長い時間がかかりましたが、今回チャンピオンを連れてくることになりました」
―日本の馬場は速い。
「私にはとても快適そうに馬場をこなしているように見えました」
―チャリンの長所は?
「素晴らしい能力、より優れた精神、そして非常に強い体です」
◆ロジャー・ヴェリアン 1979年3月14日、英国生まれ。45歳。障害の見習騎手で7勝を挙げたあと、調教助手を経て2011年に厩舎を開業。14年以降は英国で毎年、トップ10圏内を確保。16年ドバイ・シーマクラシックなどG1・4勝のポストポンドなど多くの活躍馬を管理してきた。JRA出走は12年ジャパンCのスリプトラ(17着)以来、2度目。妻は日本人の花子さん。
11/14 06:00
スポーツ報知