高橋藍「1点にこだわる」28年ロス五輪へSVリーグでの目標語る…独占コラム「百花繚藍」
バレーボール男子でパリ五輪代表の高橋藍(らん、23)=サントリー=は、2028年ロサンゼルス五輪に向け「メダルを取るために1点を取っていける選手になっていきたい」と新たに目標を立てた。10月に開幕した「大同生命SVリーグ」で国内リーグ初参戦し、昨季Vリーグ覇者・サントリーの主軸として奮闘している。特別コラム「百花繚藍(ひゃっかりょうらん)」で「1点にこだわる真意」を語った。
大同生命SVリーグが開幕し、僕自身も新たなスタートを切りました。目標は「1点」にこだわることです。その理由はパリ五輪。(準々決勝で)イタリアに「1点」の差で敗れました。第3セット、先にマッチポイントを取った中で最後の1点を取りきれなかった。イタリアには24―23の場面でノータッチでの(サービス)エースを取られてしまった。欲しい場面で1点を取れた相手に対し、僕らは取れなかった。その差を痛感させられました。
最終セットでは、サーブミスでマッチポイントを握られました。サーブを入れてブレイクを取り切れるチャンスでもありました。大事な1点でした。15点までの流れでも1点を取っていれば、という場面は多くありました。1点の重みを感じられた五輪になったし、勝つために何が必要か―。やはりこの1点を取りきれる選手になっていかないといけないと強く思いました。
パリ五輪の決勝戦を見ました。特に目立っていたのは、金メダルを取ったフランスの(イアルバン・)ヌガペト選手。託された場面で、楽しみながら1点を取っていることが多かったなと感じました。僕自身、パリは懸けてきた思いが東京五輪の時とは違い、さらに緊張感もありました。注目される重圧よりも自分自身がやってきたことを出し切れるかというプレッシャーが大きかったし、そういう部分ではすごくきつかった。最終的にこの舞台を楽しみたいという思いはありましたけど、自分自身がこのコートを支配できるぐらい楽しんでプレーすることが必要な要素だと感じました。
SVリーグでプレーしている中でイタリアと日本では戦い方の違いはあると感じています。イタリアは高さやパワーがあるけど、技術や粘り強さは日本の方がレベルは高い。海外でスパイクを打つ時はブロックが見やすかったけど、日本では見えにくく、空いたコースに打ったと思ったら、ブロックタッチを取られたり、レシーバーがいたりと違った難しさがあり、新たな経験を積んでいます。成長し、日本の緻密(ちみつ)なバレーボールに対応していきたいです。
日本でプレーして良かったのは家族が近くにいることも大きいです。海外では犠牲にしてきた部分でした。(開幕前には)何年ぶりかな? 家族旅行に出かけておそばを食べました。城崎温泉(兵庫)に入って1泊し、ゆっくりできてうれしかったです。
4年後、ロサンゼルス五輪ではパリ以上の結果を出さない限り、パリでの悔しさは晴れないと思います。ロスでメダルを取るために1点を取っていける選手であったり、この舞台を楽しんでやれる選手になっていきたいという強い思いでやっていきます。
◆大同生命SVリーグ 2027年シーズンまでに完全プロリーグ化、30年に世界最高峰リーグを目指し10月に開幕したバレーボールの新リーグ。「S」には「Strong(強く)」「Spread(広く)」「Society(社会)」などの意味がある。前身のVリーグがSVと2部のVに分かれ、SVは5項目のSVライセンスを保有するクラブが参戦(24―25シーズンは男子10、女子14)。来年4月までのレギュラーシーズン(RS)を行い、4~5月にRS上位チーム(男子6、女子8)が進むチャンピオンシップでチャンピオンを決める。
◆高橋 藍(たかはし・らん)2001年9月2日、京都市生まれ。23歳。小学2年でバレーを始め、京都・東山高3年時の19年度に全日本高校選手権で優勝。日本代表初選出は20年2月。同年4月に日体大に進み、2年時の21年11月にセリエAのパドバと契約し、23―24年季はモンツァでプレーオフ準優勝。24―25年季、日本のサントリー入り。五輪は21年東京、今夏のパリ大会で7位。188センチ、83キロのアウトサイドヒッター。
11/10 12:00
スポーツ報知