ホーバス・ジャパン第2章 スタイル継続&新戦力発掘でロス五輪8強へ 18歳の渡辺伶音ら代表合宿招集

続投を発表し、フォトセッションでボールを手にするホーバス監督(カメラ・小泉 洋樹)

 バスケットボール男子日本代表の監督に再任されたトム・ホーバス氏(57)が5日、都内で会見した。3大会連続となる2028年ロサンゼルス五輪の出場権を獲得し「ベスト8に入りたい」と1次リーグ敗退だった今年のパリ五輪の雪辱を誓った。21日の25年アジア杯予選(対モンゴル、宇都宮)から再始動。代表合宿には国内のパリ五輪組のほか、18歳の高校生、センター・渡辺伶音(れおん)ら新戦力を招集している。継続路線を強調しつつ、新戦力発掘にも着手しながら4年後へのし烈な争いが始まる。

 ホーバス・ジャパンが、いよいよ第2章へと突入する。第1章の集大成となったパリ五輪では、銀メダルのフランスを相手に、大金星まであと一歩に迫ったが1次リーグ全敗。あれから約3か月、ホーバス氏は再び日の丸の指揮官として戻ってきた。壇上で「うち(日本代表)の仕事は終わってない。ロスに出てベスト8に入りたい」と宣言。五輪の借りは五輪で返す。

 21年秋に就任し、3年かけて作り上げてきた日本代表には、確かな手応えがあった。世界ランクは21位まで浮上。23年W杯では、自力で48年ぶりのパリ五輪出場を決めた。濃密な3年間を終え、一度は米国に戻り約1か月間、バスケから離れた。続投のオファーには「迷った」というが、最後の決め手は選手からの言葉だった。返事をする前に五輪メンバーに電話。詳細は明かさなかったが「声が聞けてうれしかった。(意見を交わし)良かった」と、決断の経緯を説明した。

 21日からすぐにアジア杯予選が再開する。11日に始まる直前合宿には国内組23人を集めており、「あんまり合宿に呼んでいないメンバーを見たい」と、国内の五輪メンバーだけでなく、外角シュートも得意な高校生・渡辺伶音や、Bリーグから新戦力も招集した。ホーバス監督の下では、グリズリーズでNBAデビューした河村勇輝(23)、吉井らが急成長した。将来性を見抜く眼力は確かだ。4年後へ新たな顔ぶれにも期待が高まる。レイカーズの八村塁(26)、河村、NBA下部リーグの富永啓生(23)ら、海外で戦う選手の進化も、日本代表の大きなプラスとなる。

 パリ五輪後、他チームから「日本のバスケは面白い」と評価されたと明かした指揮官。速さと3点シュートを武器としたスタイルは貫く。「チームの強さは、絶対レベルアップさせたい」。ここまで築き上げた土台を、もっと世界基準へと押し上げる。まずは27年W杯(カタール)に出場し、ロス五輪切符を目指す。もう出るだけでは満足しない。4年後の結果を求め、大きな歴史を刻む。(小林 玲花)

 ◆ホーバス監督に聞く

 ―河村が日本人4人目のNBAデビューを果たした。

 「僕(自身)がNBAに入った時を思い出した。本当にすごいうれしい。長い間、NBAにいると絶対うまくなる。これから、彼が日本に戻る時が楽しみ。チームは絶対強くなる」

 ―来年はアジア杯がある。

 「目標は勝ちたい。(23年の)W杯ではアジア勢1位になった。だから優勝したい」

 ―今回、招集しなかった選手について。

 「いろいろ選手が見たい。(常連組で実力がもう)分かっている選手もいる。(一方で)結果を出してない選手は、ステップアップしないといけない。競争が必要」

 ◆トム・ホーバス 1967年1月31日、米コロラド州生まれ。57歳。94年にNBAアトランタ・ホークスでプレー。その後、トヨタ自動車に復帰し、2000年に東芝に移籍。1年プレーして引退。米連邦捜査局(FBI)に勤務する可能性もあったが、01年9月11日に起こった米中枢同時テロの影響もあり、採用されず。IT会社の副社長も経験。女子日本代表監督として21年東京五輪で史上初の銀メダルを獲得。21年秋から男子日本代表監督に就任。

 ◆渡辺 伶音(わたなべ・れおん)2006年4月2日、千葉県生まれ。18歳。柏市立土中―福岡大大濠高在学中(3年)。23年U19W杯で8位。24年1月から5月は特別指定でB2福岡に所属。204センチ、98キロ。

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