来場所Vで白鵬、貴ノ花以来の快挙&稀勢の里超えだ!大関昇進確実の24歳が千秋楽一夜明け心境明かす

笑顔を見せる大の里(カメラ・岡野 将大)

 大相撲秋場所で2度目の優勝を飾り、13勝2敗で大関昇進を確実にした関脇・大の里(24)=二所ノ関=が千秋楽から一夜明けた23日、茨城・阿見町の二所ノ関部屋で会見した。来場所の連続優勝を見据え「より一層頑張っていきたい」と早くも看板力士の自覚を示した。25日の九州場所(11月10日初日・福岡国際センター)番付編成会議と理事会を経て、昇進が正式に決まる。2006年夏場所の白鵬以来となる新大関制覇だけでなく、大関以下では1994年の貴ノ花(後の横綱・貴乃花)以来となる1年で3度のVに挑戦する。

 2度目の優勝の味も格別だった。前夜はぐっすり眠れたという大の里は「朝起きた時にたくさんの連絡が来ていて、その瞬間に実感が湧いた」と笑みを浮かべた。秋場所では初日から11連勝。14日目に優勝を決めた。大関昇進も確実にし、「次に向けて、より一層頑張っていきたい。これから大変になると思うし、求められるものが大きくなる」と早くも来場所へ胸を高鳴らせた。

 歴代横綱の背中を追う。九州場所で新大関優勝すれば、06年夏の白鵬(元横綱・現宮城野親方)以来の快挙。大関以下の1年で3回の優勝となれば1994年の貴ノ花以来となる。同時にV回数で師匠・二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里=2回)を超える。さらに、今年初場所で新入幕の大の里は現在、56勝で年間最多勝のトップ。年6場所制となった58年以降、新入幕の年に最多勝は60年の大鵬(元横綱)だけだ。1年納めの九州で記録を彩る可能性は十分。「今までどおり立ち向かっていくだけ」と闘志を燃やした。

 昇進伝達式は25日の予定。デビューから1年半足らずで、まだ大いちょうが結えず、極めて異例のちょんまげ姿の大関が誕生する。しこ名の由来で、「相撲の神様」と呼ばれた大正、昭和初期の名大関・大ノ里と同じ地位になる。今年8月には大ノ里の故郷、青森・藤崎町を訪問しており「入門する前から、絶対に大ノ里さんの番付にいきたいと思っていた。すごく光栄」と改めて感謝した。

 スピード出世には「気持ちがついていかない」と素直に胸中を明かしつつも、「たくさん僕の名前を知ってくれたと思いますし、これからも頑張りたい」と全国区の看板力士として土俵に立つ覚悟だ。日本中から愛される力士像を問われると「二所ノ関親方だと思います」と即答。大関、その先の綱取りへと思いをはせた。(山田 豊)

 ◆1994年の貴ノ花 大関としてカド番で迎えた初場所は14勝1敗で、4場所ぶり4度目の優勝。春場所は11勝4敗。夏場所は14勝1敗で5度目の優勝。名古屋場所は11勝4敗。秋場所は史上最年少22歳で全勝優勝を果たした。千秋楽翌日の横綱審議委員会で横綱昇進が諮問されたが、出席委員11人の3分2以上である8人の賛成を得られず昇進は見送り。「貴ノ花」から「貴乃花」に改名した九州場所でも全勝優勝。第65代横綱・貴乃花が誕生した。この年は計80勝で年間最多勝、4度の優勝。

 ◆大の里に聞く

 ―千秋楽から一夜明けての気持ちは。

 「やっぱり優勝したのは気持ち良かった」

 ―大関昇進を確実にした。

 「まだ発表されていないので、何とも考えていない。うれしい知らせを待ちたい」

 ―秋場所大きかった一番。

 「命拾いした感じだった初日(熱海富士戦)。いい相撲ではなかったが、長い戦いの中で流れを左右する一番になった」

 ―14日目は豊昇龍に勝って優勝を決めた。

 「疲労もたまっていたが、最後は気力だと思っていた。大関、横綱になる人は、みんなきつい戦いを乗り越えている。そこを目指すための試練を突破できてよかった」

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