まな弟子「新大関・大の里」誕生が確実 師匠・二所ノ関親方「まだまだ伸びる。いよいよ始まるな」

二所ノ関親方(右)に水をつけてもらう大の里(カメラ・今成 良輔)

◆大相撲 ▽秋場所千秋楽(22日、東京・両国国技館)

 14日目に2度目の優勝を決めた関脇・大の里は関脇・阿炎に引き落とされ、13勝2敗で終えた。白星締めはならなかったが、大関昇進目安とされる「三役で直近3場所合計33勝」を上回る34勝を挙げた。番付編成を担う審判部は、昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱・北勝海)に要請し、受諾された。理事会で昇進が見送られた例はなく「新大関・大の里」誕生が確実となった。

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 大の里の師匠、二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は、まな弟子の2度目Vに「内容が良かった。前に出る相撲ができていた」と振り返った。自らの優勝回数に早くも並び「もう抜くのは時間の問題じゃないかな」と期待。12勝3敗だった夏場所の初優勝の際には13勝以上での賜杯を厳命していたが、わずか2場所後に見事にクリアし「いいんじゃない」と、うなずいた。

 先場所は好成績なら大関昇進の期待がかかっていたが、9勝にとどまった。悔しさを晴らすべく、大の里は8月の夏巡業では申し合い稽古をみっちり行い、対戦の可能性がある力士の取り口を体で覚えた。二所ノ関親方も「巡業が良かったんじゃないか」と認める。8月26日の番付発表後、師匠は「地道な稽古が足りない」と指摘し、部屋で四股やすり足を徹底させた。出稽古は行わなかった。

 さらに今月上旬の稽古では師匠自ら胸を出し、大の里との三番稽古(同じ相手と続けて取る)も敢行した。「左四つがあまりいないから、いい刺激になれば」と師匠。引退から5年以上がたつ中、まな弟子のために一肌脱いだ。10勝7敗と何とか勝ち越した大の里も「(自分の)仕切りや立ち合いをさせてくれなかった。すごさを感じた。現役力士にはいない感覚」と舌を巻くほど。今場所は左からの攻めも光ったが、二所ノ関親方の体を張った献身的な指導があった。師匠は今場所を「前に出ていると良さが引き立つ」と評価した。

 大関昇進も確実にした。だが、横綱を張った師匠だけに「腰が割り切れていない。基本ができていない」と要求は厳しい。「これから、まだまだ伸びる。いよいよ始まるなという感じ。ここからの方が厳しい戦いが続く。上にいくためには、常に優勝争いに絡んでいくことだ。強いと言われる大関になってほしい」と期待をかけた。師弟の挑戦は、まだ序章に過ぎない。(三須 慶太)

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