旭川・空知が合同チーム初の決勝進出…後半29分に逆転 劇的勝利…全国高校ラグビー北北海道大会準決勝

初の決勝進出を果たした旭川・空知合同フィフティーン(カメラ・飯塚 康博)

◆全国高校ラグビー◇南北北海道大会 第2日 ▽北北海道大会準決勝 旭川・空知合同14-12中標津(21日、芦別市・なまこ山総合運動公園球技場)

 準決勝計4試合が行われ、北大会は旭川・空知合同(芦別、羽幌、富良野の3校連合)が花園出場8度を誇る中標津に14―12で逆転勝ちし、合同チームでは南北大会を通じて初の決勝進出を決めた。試合終了直前にFB苫米地愁(羽幌3年)が同点トライを挙げ、コンバージョンキックも決まる劇的な幕切れ。北大会2連覇を狙う遠軽のほか、南大会は札幌山の手、函館ラサールが決勝に駒を進めた。両大会の決勝は28日に札幌市の月寒屋外競技場で行われる。

 誰もが泣いた。逆転勝利を告げるノーサイドの笛に芦別、富良野、羽幌の3校で編成された選手たちは学校の垣根を越え、涙ながらに抱き合った。難敵の中標津に競り勝ち、羽幌の扇子貴嗣監督(42)は「最後まで気持ちを切らさず、タックルに行けたのが勝因です」と晴れやかに語った。

 あまりに劇的だった。7―12の後半29分、相手ゴール前中央のPKからフッカー中川稜琉主将(羽幌3年)が突進し、最後はFB苫米地が飛び込んで同点トライ。直後のキックも決まり、大接戦に終止符を打った。

 この日が18歳の誕生日の苫米地は前半14分の先制を含む2トライ。「同点の瞬間は頭の中が真っ白。みんなが僕に勝利をプレゼントしてくれてうれしかった」と涙した。中学3年時にスノーボード全日本選手権でスロープスタイル5位入賞の経験を持つ個性派だが、チームスポーツの楽しさに魅了された。

 15人でプレーする競技とあって、各校は部員確保に頭を悩ます。さらに旭川・空知合同は芦別―羽幌間が直線距離で約101キロ、車で約3時間と距離の壁も存在する。月1回の練習と夏合宿で一緒に練習できたのは十数回。それでも富良野が両プロップ、他のFWは芦別、BKは羽幌で主力がまとまっており、各校で効率よく腕を磨いてきた。

 合同チームで初の決勝の舞台。今大会のために特注した正ジャージーには3校のスクールカラーが施されている。NO8小野晴也(芦別3年)は「チームの絆を意識し、最高のプレーができれば花園に行けます」と言い切る。新たな歴史の扉をたたく。(飯塚 康博)

 ○…南・札幌山の手は札幌清田に101ー0。ニュージーランド人留学生のNO8タレマイトガ・ウルイラケバ(2年)が2戦連続の100点ゲームに貢献した。抜群の突破力でチームを引っ張り「今日はワンチームだった」と片言の日本語で答えた。同校OBの日本代表FWリーチマイケルに憧れて昨春入学。6月に64歳で亡くなった祖父は1991年W杯にフィジー代表で出場するなどラグビー一家で育った。自身初の決勝へ「花園に行きたい。頑張るよ」と笑顔でサムアップした。

 ○…南・函館ラサール 2年前の優勝校・立命館慶祥を完封し、3年ぶりの決勝進出を決めた。相手に突き刺さるような鋭いタックルを連発し、リズムをつくるとWTB宮沢羽琉(3年)が2トライを挙げるなど引き締まった試合を展開した。宇佐見純平監督(43)は「泥くさいラグビーで0点に抑えることができた」と満足そう。札幌山の手との決勝へ「どんどんタックルが刺さっていければ」と自慢の防御で立ち向かう。

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