2場所ぶり2度目優勝の大の里はすでに「横綱級の強さがある」 感じた千代の富士の風…元大関・琴風の目

豊昇龍を押し出しで破り、2度目の優勝を決めた大の里(右)(カメラ・竹松 明季)

◆大相撲 ▽秋場所14日目(21日、東京・両国国技館) 

 関脇・大の里が2場所ぶり2度目の優勝を楽日前に決め、昭和以降最速となる初土俵から所要9場所での大関昇進を確実とした。

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 なんたる勢い。なんたる強さだ。大の里の一番に解説は必要ない。技術ではない。もろ手から一気に突き放して豊昇龍を吹き飛ばした。止まらずに左脇を締めて右で突いて勝負を決めた。13日目の琴桜。そして豊昇龍。2大関を圧倒したのだから横綱級の強さがあると断言してもいい。改めて千代の富士さん(第58代横綱)が吹かせた風を感じた。

 最近の相撲界には“大関病”が蔓延(まんえん)している。勝ちたいという気持ちが強過ぎて相撲が消極的になってしまう。琴桜も豊昇龍もこの病に感染している。それさえクリアしてしまえば来年の春場所では綱を締めているかもしれない。まさに千代の富士の歩んだ道だ。

 この日、大関を30場所も務めた貴景勝が引退会見を開いた。大の里のように坂道を強烈に駆け上がる者がいれば転げ落ちる人生もある。勝負の世界の厳しさだ。そして大の里が綱を張った時には同じような坂道現象が起こる可能性もある。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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