前日本王者・堤聖也が公開練習 世界前哨戦へ緊張感高まり「しっかり組み立てるボクシングをしたい」

公開練習で石原雄太トレーナー(左)相手にミット打ちを行う堤聖也

◆プロボクシング ▽56キロ契約10回戦 堤聖也―ウィーラワット・ヌーレ▽WBA、IBF世界スーパーフライ級(52・1キロ以下)王座統一戦12回戦 WBA王者・井岡一翔―IBF王者フェルナンド・マルティネス(7月7日、東京・両国国技館)

 前日本バンタム級(53・5キロ以下)王者・堤聖也(角海老宝石)が2日、東京・練馬区のDANGANジムで、ウィーラワット・ヌーレ(タイ)戦に向けた公開練習を行った。

 WBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(志成)とIBF同級王者フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)の王座統一戦がメインの興行で、セミファイナルとして行われる一戦は、堤にとって“世界前哨戦”。この日はシャドーボクシング、石原雄太トレーナー相手のミット打ち2ラウンドなど軽めのメニューを披露したが、公開練習後も入念にミット打ちを行って汗を流した。「(契約体重)56キロで、いつもより2・5キロ重いから、そのぶん(減量は)楽。(調整)期間がなかったからギリギリになるかなと思ったけど、順調。食べながら(減量は)できている」と力を込めた。

 ウィーラワットの映像は入手済みだが「まだ20秒くらいしか見ていない」という。それでも「リターンをしっかり返してきたりと、ちゃんとボクシングができる選手。後でちゃんと見ます」と警戒は怠らない。

 現在、WBA世界バンタム級2位、IBF同級3位、WBO同級7位、WBC同級11位の主要4団体すべてで世界ランク入りしており、この先に世界挑戦を見据えている。「じゃなければ、この試合はやらない」と堤。ただ、「勝って当たり前と言われる試合はデビュー戦以来かもしれない。先週くらいから、(試合への)怖さ、恐怖心を持って、いつもと同じようになってきた」という。「負けるかもとか、パンチを効かされるとか、そういう不安が出てきた。もしかしたら頭を切るとか。いいところを見せようとボクシングをすると、いいパフォーマンスができない。しっかり組み立ててボクシングをするのが、練習するなかで大事になってきた」。いい意味での緊張感が出てきたことで、懸念される油断を封じ込めた。

 2022年6月に澤田京介(JBスポーツ)に8回TKO勝ちで日本タイトルを獲得。4度防衛に成功した後、世界挑戦を見据えて王座を返上した。昨年は単身、米国で合宿を行ったが、今年もオーストラリアで前WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)の(大橋)戦に向けたスパーリングパートナーを務め、5月下旬から6月10日までは再び米国で腕を磨いた。米国では、指導力のあるマニー・ロブレス・トレーナーに手ほどきを受け、米国ではWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M・T)、WBO世界フライ級(50・8キロ以下)王座決定戦を戦うアンソニー・オラスクアガ(米国)、サウル・サンチェス(米国)らとスパーリング。「いい刺激をもらってきた」と言う。

 現在、バンタム級はWBAが井上拓真(大橋)、WBCが中谷、IBFが西田凌佑(六島)、WBOが武居由樹(大橋)と主要4団体すべて日本人が王座に就く。その中でターゲットは「井上拓真です」と明言する堤。今回の試合が決まった直後は「スパーリングとか良くなかった」というが、先週、実戦練習を打ち上げると「安心できる仕上がりになった。早く終わらせようとすると空回りしちゃう。テーマは、いつものように、ちゃんと組み立てるボクシングをしたい、です」と気を引き締めていた。

 戦績は28歳の堤が10勝(7KO)2分け、22歳のウィーラワットが4勝(2KO)1敗。

 試合はABEMAで無料生配信される。

ジャンルで探す