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東京五輪の競泳テレビ中継で初めて「選手のスピード」表示 今までは「タイム表示」…公式計時オメガの新技術

オメガが開発した新技術。スイマーの泳ぐスピードが画面上に表示される

 東京五輪の公式計時を担うスイスの時計ブランド「オメガ」が今大会の計時で新技術を導入することが11日、分かった。競泳では各選手それぞれの泳ぐスピードを計測することに成功し、中継画面に表示する。応援する選手の加速や減速などがリアルタイムで分かるため、テレビ観戦者にとってはさらなる熱狂の呼び水にもなりそうだ。(北野 新太)

 過去五輪の競泳競技において、テレビ中継視聴者はレース中の「タイム」しか分からなかったが、今大会は各スイマーの「スピード」を画面上で知るようになる。

 オメガによると、同社のスポーツ計時を担当するスイスタイミング社が独自開発した「モーションセンサー」と「ポジショニングシステム」の両技術を搭載した4台の追跡カメラ「スイムトラッカー」を大会会場のプールサイドに設置する。

 各選手の状況をリアルタイムで記録するカメラにより、スイマーの泳いでいるスピードの現状や変化、ゴールまでの距離、ストローク数などのデータが分かるようになる。前半で飛ばしたか、後半で粘ったか、抜き去った瞬間のスピードは全選手の中でも最高だったか―。細部が明確な数字となって明らかになる。

 オメガは1932年のロサンゼルス五輪から夏季・冬季の計28大会で公式計時(タイムキーパー)を務めてきた。大会ごとに技術革新を続け、競泳では68年メキシコシティー五輪で泳者自らがゴールタイムを止める「タッチパッド」を初導入。記録上の公平性を格段に向上させた。

 今回の進化について、同社は「激しい水しぶきのせいでプールの中では何が起きているのか見えにくいこともありますが、今後は全てが分かるようになります」と自負。さらに「選手やコーチにとっては理想的なデータになり、コメンテーターやアナリストはストーリーを伝える時に豊かな内容を盛り込めます」とし、選手側や報道側にも好影響が出ると分析している。

 五輪の競泳中継では、36年ベルリンで日本人女性初の五輪金メダリストとなった前畑秀子のゴール直前にNHKの河西三省アナウンサーが「前畑ガンバレ!」という絶叫を繰り返したことが語り草になっているが、85年の時を経て、スイマーの加速や減速まで伝えることが可能になった。

 今大会、一気に加速した国民的ヒロインに、日本中から「池江ガンバレ!」の声が送られるシーンも生まれるかもしれない。

 ◆オメガによる五輪公式計時の技術革新

 ▼1932年(夏・ロサンゼルス) 同一時計による中間・最終タイムの記録に成功

 ▼56年(冬・コルティナダンペッツォ) アルペンスキーで滑走者自らタイムを始動させるスターティングゲートを導入

 ▼84年(夏・ロサンゼルス) スターティングブロックにフライング検知装置を初めて内蔵

 ▼2008年(夏・北京) マラソンで走者のシューズに超小型GPS装置を装着して各選手の現在地やタイムを表示

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