コツコツ貯めた500円玉貯金で初の海外旅行へ。旅慣れた先輩との出会い、大学ノート一冊分の旅日記。次の旅行のために500円玉貯金を再開
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念願の海外旅行へ!
3人の子育てを終え、還暦を迎えた時、専業主婦だった私は、毎日500円玉貯金をして自由に使えるお金を作ろうと計画を立てた。それから5年。コツコツと続けたおかげで、見事90万円が貯まった。
そこで、念願だった初めての海外旅行に夫を誘ったのだが、「行きたかったら一人で行ったらいい」とにべもない返事。落胆しながらも、おひとりさまの旅もいいではないかと思い直す。
すると、ある日の新聞広告に載っていた「中欧4ヵ国世界遺産巡りの旅」が目にとまった。添乗員が日本から同行してくれるので初心者にうってつけだと思い、さっそく申し込む。荷造りを進めながら、きっと私のようなおひとりさまもいるはず、と期待に胸を躍らせた。
そして迎えた出発当日。電車を間違えて、帰宅ラッシュのなか右往左往しながらもなんとか関西国際空港に到着した。行きの飛行機はカイロ経由。耳なじみのないアラビア語のアナウンスが流れる機内で、運良くおひとりさまの女性と隣同士になり、仲良くさせていただいた。
話を聞くと彼女は82歳で、これまでに何十回も海外旅行をしているとか。その後の道中ずっとご一緒し、大変心強かった。
ほかにも、友人同士という80代の2人組ともおしゃべりできた。彼女らも旅好きで、アラスカにオーロラを見に行った話で盛り上がる。到着前からとても楽しい時間を過ごせた。
飛行機を降りると別世界だ。改めて来てよかったと感動がこみ上げる。最初の宿泊地であるミュンヘンから、チェスキー・クルムロフ、プラハ、ブダペスト、ウィーンまで5泊のプラン。
ひとり部屋は気楽で自由に使えるし、私のもう一つのやりたいことだった「旅日記」もゆっくりと書くことができて大満足。これまで狭いところしか見てこなかった自分が、初めての海外に感じたことを書きとめておきたかったのだ。
大学ノート1冊分になった旅日記は、今読んでもその情景や感覚を蘇らせてくれる宝物になった。
8日間の旅から帰宅した私に、夫は温かい夕食を用意してくれていた。わが家と家族のありがたさを改めて感じる。次はどこへ行こうか。また500円玉貯金を再開しようと思う。
07/24 12:30
婦人公論.jp