キャシー中島「へバーデン結節、ブシャール結節…最初の指の異変は40代。50代で指に激痛が走り、整形外科へ。早めの受診が大事だと痛感」

「これは変だ! と思い、ようやく50代半ばで整形外科を受診したのです」(撮影:宮崎貢司)
キルト作家としても多忙なキャシー中島さんは、40代のころから指の腫れや痛みに悩まされてきた。年齢のせいと考えて放置していたが、50代半ばでようやく受診を決断。更年期以降の女性に多いヘバーデン結節とわかり、25年も症状とつきあっているという。そして、60代半ばに、顔の皮膚の異変に気づく。不安に陥っていた彼女を病院に向かわせたきっかけは――(構成:村瀬素子 撮影:宮崎貢司)

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40代から始まった指関節の痛み

若いころは「白魚(しらうお)のような指だね」と言われて、指輪のモデルをしたこともあったんですよ。それがいまでは、両手の指のほとんどの関節にコブができていて、左手の中指は小指のほうに傾いています。

最初に指の異変を感じたのは、40代半ばです。右手小指の第一関節が痛くなって、突き指でもしたのかなと思っていました。その後もズキズキする鈍い痛みは続きましたが、疲れや年のせいかしらなどと思うだけで、日常生活にはさほど支障なく暮らしていたんです。

はじめて病院に行ったのは、2年ほどたってからでしたね。そのころには、右手人差し指の第一関節も腫れてきて、「もしかしたらリウマチかな」と疑い、専門病院で血液検査を受けたんです。

ところが「異常なし」との診断。「この指の腫れと痛みは何なんだろう」と思いつつも、当時は手指の病気に関する情報が少なかったこともあり、そのまま放置していました。

50代に入って閉経を迎えるころには、ほかの指も順に痛くなって。雑巾を絞れない、缶詰の蓋を開けられない、物をつかめない……と、日常生活に支障が出てくるようになっていました。

何よりつらかったのは、ちょっと物に指がぶつかったり、握手したりすると、「ギャ~ッ!」と叫び声をあげてしまうほど激痛が走ることでした。これは変だ! と思い、ようやく50代半ばで整形外科を受診したのです。

病名はヘバーデン結節。指の第一関節が変形してコブができたりする関節疾患です。当時、医師からは「老化現象の一つです。根本的治療法はありません」と言われ、痛み止めの内服薬と湿布やテーピングなど、いわゆる対症療法をしていました。

治らないなんて困ったわと思っていたとき、有効と思われる情報を得たのです。ブログで「ヘバーデン結節になりました」と発信したら、読者の方から、「私も指の関節症です。エクオールのサプリメントを飲んだら痛みが緩和しました」というコメントがいくつか寄せられました。

エクオールというのは大豆イソフラボンが腸内で代謝されて作られる成分で、女性ホルモンに似た働きをするそう。手指の痛みは女性ホルモンであるエストロゲンの減少が関わっているので、効果が期待できるということでした。

半信半疑で飲み始めたところ、2週間くらいで効果を実感し、痛みが消えていき一安心。

でもね、これで解決したわけではないんです。60代の半ばに、今度は、何本かの指の第二関節が炎症を起こして痛くなったの。指の第二関節がコブのようになるのは、ブシャール結節という病気で、指輪も入らなくなりました。ブシャールの痛みは継続中です。

ヘバーデン結節もブシャール結節も、いまは手術で治療する方法があるそうですが、私自身、それは最終手段かな。自分なりの方法で対処しています。

具体的には、エクオールと血行を促進するサプリを飲む。医師に勧められた指反らし体操をする。親指から順に一本ずつ、指を気持ちいいと感じるところまでじわーっと反らすのです。

そしてズキズキと痛むときは、湿布薬を巻いてテーピングをして寝る。こうして指の症状となんとかつきあっています。

最初のころにヘバーデンになった指は、現在のところ痛みもないので、いつかはブシャールの痛みも治まるかな、と楽天的に考えているんですが、どうでしょうね。

いま振り返ってみると、結果的に10年も放置していたから、症状を悪化させたのかもしれません。腰が痛い、手が痛いぐらいでは、すぐに病院に行かず我慢しがち。多少熱があっても、「夕飯を作らなきゃ」と家族優先で、自分の体のことは後回し。そういう人も多いんじゃないかしら。

でも、不調や異変を感じたら、できるだけ早く病院で診察を受けることが大事だと、経験から痛感しています。病名がわかれば、治療も対処も早くできますから。

<後編につづく>

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