63歳でブラジルのサンパウロに移住、帰国したくなる時も。現地での生活は、南米特有の植物に癒された
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異国の地で寂しい思いもあった
63歳の時、私は家庭の事情で遠いブラジルに移住した。移住後は予測不可能な事態の連続だった。習慣も規則も異なる、何もかもが奇妙に感じる新世界。
そこに身を置くなかでは、嬉しいこともあれば、怒りをこらえられず、すぐにでも帰国したくなることもあった。
サンパウロは世界一の日系移民社会で、日常生活は日本語で十分こと足りる。しかし、同じ言語、同じ人種でも意外に噛み合わず、寂しく感じることが多い。
最近になって、片言のポルトガル語でブラジル人と会話できるようになった。
彼らは人懐っこく親切なので、どちらかと言えば片言でのほうが、ほどよいつきあい方ができるというのは一つの発見だ。
サンパウロの癒やしの花
南米特有の花や木にはいつも癒やされている。庭の小さな植木鉢で育てていた名も知らぬ花も、数年で大きく育って立派な木になった。去年まで白い花をつけていたかと思えば、今年は紅色の花がこぼれんばかりに咲いている。こんなことってある!?
折々のお祝いでいただいた蘭は、花が咲き終わると、すべて木の幹に縛り付ける。縛って放っておくと、豪華絢爛にもう一度咲くのだから驚きだ。
激しい太陽の下、雨風に揺らされながら数ヵ月咲き誇る。大自然の驚異を味わえる貴重な瞬間である。
02/28 12:30
婦人公論.jp