ここから生まれる、伝説の1ページ目。「ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2024」Report
2024年9月29日(日)、 ダブルダッチ業界“唯一”となる高校生を主役とした大会『ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2024』が開催された。
2021年からスタートした同大会には、今年もアンバサダーとしてDA PUMPのKIMI、そしてシーンのトップランカーであるREG☆STYLEを起用。
更には今回「エンターテイメント」を審査するジャッジには、あのお笑い芸人・パンサー 尾形貴弘に加え、THE FLOORRIORZのB-GIRL RAM、D.LEAGUEからFULLCAST RAISERZのINFINITY TWIGGZが登場。
カルチャー・ジャンルをまたいで豪華キャスト陣が集結し、高校生が主役として輝けるステージを、シーン内外の様々なキャストが華を添えた。
3つの種目から構成され、それぞれで白熱した戦いを繰り広げた大会の様子を振り返る。
SPEED RELAY
団体ごとに競われるこの種目は、駆け足跳びである「スピード」を、3名の跳び手がリレー形式で行うもの。1人目が10秒、2人目20秒、3人目30秒とジャンプ時間も変動し、誰がどの順番で跳び、回すのかという戦略性も求められる。
激戦を勝ち抜いたのは、210回で「日本橋ダブルダッチクラブ」!
過去に2度もSPEED RELAYで優勝を果たした同団体が、3度目となる王座のタイトルを獲得した。
1on1 BATTLE
個人戦である 1on1 バトルは、イベントの主役である高校生に加え、未来のITADAKI世代を担う中学生の2部門が用意。
■ 中学生部門
中学生部門は、昨年王者であるSHU-BOY (COMRADE) と、SHUTO (ダブルダッチスクール Be Color) が対決。
ハイレベルな接戦を制したのはSHUTO!
両者ともにブレイキンを基調としたスタイルのバトルとなったが、抜群の安定感でSHUTOに軍配が上がった。
■ 高校生部門
高校生部門では、こちらも昨年王者のTAIYO (MJRC) と奏 (COMRADE) の対決に。両者ともにソロバトルの決勝大会「DOUBLE DUTCH ONE’S FINAL」への出場経験があるだけに、大人顔負けの名勝負が繰り広げられた。
ブレイキンベースのTAIYOとヒップホップの奏。両者ともそれぞれのスタイルがぶつかり合う激戦は、僅差でTAIYOが勝利。3連覇で不動の強さを見せつけた。
SHOWCASE
■ STEP UP 部門
昨年から新設された「STEP UP 部門」は、メンバーの過半数がダブルダッチ歴1年未満であることが条件。
さらには今年、ダブルダッチの部活動が存在しない高校からも選手が出場! 高校生たちのフレッシュなショーケースの数々が会場を賑わせた。
そんな中、1位になったのはその“部活動が存在しない”高校から、「KRIEGER」(クリーガー / 日本体育大学桜華高等学校)!
ダンス部の部員で構成されているとのことだが、そこで培われたキレ味がダブルダッチでも存分に活かされており、「もっと極めれば大会制覇もあり得る!」と大勢から太鼓判が。初陣を最高の形で締め括った。
■ OPEN 部門
次いでOPEN 部門は、今年も激戦。他大会で優秀な成績を収めたチームも多数登場し、大いに盛り上がりを見せた。
3位は「No Logic」(自由ヶ丘学園高等学校)。
数々の大会を勝ち上がってきた“猛者”が、ここでもしっかりと入賞。動きの大きさと切れ味、そして女子オンリーのチームでありながら、ヒップホップからブレイキン、アクロバットまで、多岐にわたる技のバリエーションと安定感。堂々たるショーケースで存在感を示した。
2位は「4Rings」(ダブルダッチスクール Be Color)。
女子3人組でありながら、こちらも豊富なバリエーションの技を次々披露。“GAL感”、そして癖になるコミカルさが随所に散りばめられている特徴的なショーケースは、繕わない出演者の内面を映したような、強靭な表現力によって裏打ちされていた。一度見たら忘れられない“インセイン”なショーケースで、準優勝を獲得した。
そして今年度、優勝に輝き優勝旗を高らかに掲げたのは「ROYAL DELIGHT」(ロイヤル デライト / 栄光ROYAL)!
高い基礎力に定評のある栄光ROYALのチームだが、瞬きの間にも技が繰り広げられるような怒涛の3分間。見たことのあるような一般的な技も、彼らにかかれば応用レベルへと昇華され、会場からは大歓声が!
大人数を活かしたフォーメーションや各技など、見れば見るほど細部へのこだわりを感じさせる無駄のない演技で、観客投票でも1位を獲得した彼ら。審査員も高い点数を付け、見事“頂”を掴み取った!!
なお、記事末尾にはROYAL DELIGHTの選手たちへのインタビューも掲載されている。彼らが練習で大切にしていたことや“大人数のパフォーマンス”へのこだわりなど、勝利を掴み取った理由の一端を垣間見ることができるだろう。是非そちらもご一読いただきたい。
またこの他にも、ご紹介したい選手は数々存在するが、その全ては公式から公開されているライブ配信のアーカイブをご覧頂きたい。
“山頂”を目指し繰り広げられた戦いは、4年目を迎え新たなシナリオを描き始めている。2021年の開催当初 1年生だった選手は高校を卒業し、それぞれの道へ歩み始めている。だが、高校生たちのその勢いは衰えることなく、新たな顔ぶれがシーンの未来を強く支えていることを目の当たりにした一日だった。
そして、ITADAKIを知る者たちは次なるステージへ進みながらも、高校生たちに大いに刺激を与えていた。山頂から吹き下ろす“山風”のごとく、次なる高みを目指す高校生たちへ、これからも高いところから追い風を起こしてくれるだろう。
この舞台から生まれる、伝説の1ページ目。ITADAKI 2024は幕を下ろし、また次なるシナリオが描かれていく。そこに2本のロープがある限り、きっとこの風は止まないことだろう。
優勝チーム「ROYAL DELIGHT」にインタビュー!
──まずは優勝おめでとうございます! 今のお気持ちを!
こうちゃん
本当に嬉しいですし、安心しました。いろんな人が応援してくださって、たくさんの人の支えを常に感じていたので、良い結果で恩返しできたんじゃないかなと思っています。
──ROYAL DELIGHTのみんなは、過去に大会には出たことがあるの?
やまちゃん
はい、このチームで昨年のITADAKIに出ています。ただ、怪我でこうちゃんがいなかったので、フルメンバーの7人で出場できたのは今回が初めてです。
こうちゃんは昨年、ITADAKIの1ヶ月前ごろにいきなり脚を痛めてしまって…。
演技も完成しかけていたので、その時期の雰囲気は最悪でした(笑)。
のりちゃん
結果、この時は確か下から数えて3番目の順位でした。
──そうなんだ。そんなチームが今日上から数えて1番になったわけだ。ちなみにその時の反省や悔しさみたいなものは、今年のパフォーマンスに活きているのかな。
ぼくや
それは大いにありますね。昨年は本当にボロボロだったことがとにかく悔しかったです。
初年度から栄光ROYALから出場しているのですが、優勝した経験はなくて、今年こそ“頂を絶対に獲ってやる”という思いで燃えていました。
あとは結果の面もそうですが、そもそもパフォーマンス自体を完璧にやりきろうと。
こうちゃん
昨年僕が出場できなくて、チームの雰囲気も悪くなってしまって、本当に申し訳ないことをしちゃったなと責任を感じていました。今でも思い返すだけでもしんどい気持ちになります。
そして、僕が抜けても6人で出場してくれたチームメイトたちには凄く感謝していて、パフォーマンスを見ていて本当に感動したんです。
そういう思いがあったからこそ、今年は本当に覚悟を決めて“絶対に勝つ”と。
──なるほど。素敵なチームだ。
ぼくや
具体的な面で言うと、昨年の反省点として「練習の再現ができていなかった」と思うんですよね。
本番を迎えると緊張で手が震えて、縄がちゃんと持てずに飛んでっちゃったり、僕が声を出しまくってしまい、そのせいでチームメイトを変に惑わせてしまうことになってしまったり。
本番ですべきは“練習の再現”ということを理解はしていても、それを実行できなかったことが反省点だったので、個人的には今回そこがテーマでした。
そうし
僕が思ったこととして、昨年のショーを振り返ったとき、チームの人数が大勢いるのに、1つの技のパートに関わる人数は少なかったんですよね。
せっかくの大人数の強みが活かされていないなと感じました。
それで今回、意図的に平均的に4〜5人が関れる演技を増やしました。
こうちゃん
あと、出す技も小出しにしていた傾向があったんですよね。技を出す→繋ぐ→技→繋ぐ、という単純な繰り返しは構成面では良くないなと。その流れが止まらないような演技にすることを意識しました。
あとはぼくやの言う通り、練習の再現ができるよう精度を上げていこうと。身体にパフォーマンスが染み込む状態まで持っていかないと、また演技が飛んじゃう可能性はあるなと思って。
たかし
例えば練習を無音でやって、カウントも声かけも全て無しの状態ということもありました。
音に頼らずとも自分たちのペースで出来るように染み付かせるという目的ですね。何も考えずとも進められるようにと先輩に教えてもらった練習方法です。
ぼくや
あと、めちゃくちゃ演技中に邪魔してもらうとか、ターナーの真横に立ってもらった状態の練習もありました(笑)。本番はお客さんからの歓声もありますが、そんな時でもとにかく練習の再現をいつも通り、平常心でやれるような精神力を鍛えようという。
──どんな状況でも練習の再現をできるように、演技を身体に焼き付けて自然にできるように、ということなんですね。
それで今日本番を迎えたわけですが、振り返ってみてどうでしたか?
こうちゃん
正直あんまり記憶がないです(笑)。部分部分では覚えているんですけど。
ただパフォーマンス終わった後に前を見て、お客さんやジャッジの皆さんの楽しそうな表情を見たとき、最初に思い描いていた景色が目の前にあって、嬉しくて仕方がなかったです。終わったらその体制を数秒キープしないといけなかったんですが、気づいたら手がすぐに上がっていました(笑)。
たかし
部活外からも学校の友達が来てくれていて、自分のパートで「たかし通せ〜!」って声を出してくれていて。応援のパワーって凄くて、めっちゃ身体が動いた感じがしましたね。
ぼくや
僕は逆に、応援の声は正直あまり気にしすぎないようにしていました。さっきも“邪魔してもらう練習”の話をしましたが、とにかく演技中は平常心で。
だからその分、終わった後にお客さんが沸いてくれていたり、拍手喝采で本当に嬉しかったです。感無量でしたね。
けいちゃん
昨年出たときは本当に緊張していて、めっちゃ顔引き攣ってるよって言われたりもしたんですよね(笑)。今年も緊張はありましたが、身体がちゃんと練習どおりに動く感覚がありました。
やまちゃん
それこそ演技直前、いつも部活でやっている基礎練を全員でやったんですよ。“練習の再現”という話もありましたが、それも自分としてはかなり落ち着いて臨むことができた要因の一つでした。
──みんな練習が好きなんだね(笑)。いろんなタイプのメンバーがいるけど、とにかく“練習の再現を”という部分は、ROYAL DELIGHTのみんなが相当意識して取り組んだことだったんだなと、お話を伺っていて感じました。
こうちゃん
今年のDOUBLE DUTCH CONTESTという大会で、僕たちの1つ上の先輩にあたる「ROYAL LAPLACE」というチームが国内予選を1位通過して、続く世界大会に出場したんです。そういう偉大な先輩の姿にも影響を大いに受けましたが、実はLAPLACEも直前まで基礎練をやっていたんです。
最後まで“基礎は大切”だという教訓、それからROYALとして基礎力の強さは譲れない思いもあったので、原点に戻って基礎練を直前にできたことは良かったなと思います。
──熱い思いをありがとうございました。それでは最後に、もし今後について考えていることなどがあれば。
ぼくや
今こうちゃんがLAPLACEの話をしてくれましたが、偉大であり、かつ超えたい存在だなと思っていて。
ROYAL DELIGHTとしての次なる目標は、来年3月のDOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN (国内予選) で優勝して、世界大会に出場することですね。
LAPLACEの先輩たちもITADAKIには出場していたのですが、結果には恵まれず近くで悔しい思いをしていたのを目の当たりにしたので、僕らがその夢を叶えた今、先輩たちを超えたいなと思っています!
──またROYAL DELIGHTのみんなと会えることを楽しみにしています。今日はありがとうございました! そして、優勝おめでとう!!
開催概要
「ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2024」
日時 : 2024年 9月29日(日)
会場 : 川崎ルフロン
主催 : ITADAKI 実行委員会
共催: 川崎市 / INTERNATIONAL STREET FESTIVAL 実行委員会
主管 : 有限会社 OVER THUMPZ
オフィシャルパートナー: ポカリスエット / ヘインズブランズ ジャパン株式会社
サポーター:川崎LeFRONT / $TREAM
協力 : スキルハック / 日本学生ダブルダッチ連盟
協力メディア : FINEPLAY
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