世界最高峰の舞台で最年少の快挙。小澤美晴が初ワールドカップで準優勝「FISE Montpellier 2024」BMXフリースタイル・パーク種目

UCI BMXフリースタイル ワールドカップ第2戦となる「FISE Montpellier 2024」がフランス・モンペリエにて2023年5月8日(水)~12日(日)にわたり開催され、その中で11(土)に行われたBMXフリースタイル・パーク種目の決勝では女子エリートにて小澤美晴選手が準優勝を収めた。

例年、天気の影響で何かしらのハプニングがあり、なかなかスケジュール通りに行われていなかった本大会だが、今年は終始天候に恵まれて大会日和の中で開催された。またBMXフリースタイル・パーク種目に関しては翌週に「オリンピック予選シリーズ(OQS)」も開催されることから、国内外のパリオリンピック出場候補選手にとってはかなりタイトなスケジュールの中での参戦となったが、世界中から多くのトップBMXライダーが集まり熾烈な大会が繰り広げられた。

日本女子BMXフリースタイルの次世代を担う小澤美晴が、初ワールドカップで準優勝という快挙。男子も小澤と溝垣が自身最高順位で大会を終える。

女子エリートクラス

小澤美晴のライディング ©︎The Agency:UCI

女子エリートクラスには18名が参加し、5月11日(土)の決勝は予選を勝ち抜いた12人で争われた。日本からは日本代表として現全日本チャンピオンの内藤寧々と、3月の国際大会でワールドカップ出場権を獲得したばかりの小澤美晴が出場したほか、東京オリンピック出場選手の大池水杜や、若手期待の実力者である杉尾咲空も個人出場しており、全員が見事予選を通過。その中でも小澤美晴は2位を大きく引き離して1位通過を果たし、決勝へ幸先良いスタートを切った。 

そして決勝では、内藤がビッグトリック「フレア」を狙うも転倒するなど、各日本人選手が会場を沸かせる力強い走りで世界へ挑戦する姿を見せたがスコアを伸ばしきれず表彰台を逃す一方で、勝負に出るライディングを見せたのが、最終滑走者として登場した小澤美晴。男子にも劣らない高難度トリックを持ち技にする彼女は世界でももちろんその強さを見せる。

惜しくも1本目では勝ちにいくため、今大会で誰もメイクしていない「バックフリップ・バースピン」にトライするも着地時に転倒してしまい、2本目のラストランへ賭ける展開に。
2本目では世界ランク7位で地元フランスのローリー・ペレスが完璧なランでまとめて94ptを叩き出し、暫定1位に大きくリードを伸ばしたことで彼女を追うことになったが、小澤は冷静に「バックフリップ」や「トラックドライバー」、「テールウィップ」などを次々メイクして加点を重ねていくも、スコアは93ptとペレスに僅かに及ばず準優勝で大会を終えた。
ただ1本目の転倒もあり十分なコンディションではない中でのこの結果は次回のワールドカップではもっと良いスコアを残すことは間違いないだろう。

男子エリートクラス

溝垣丈司のライディング ©︎Hurricane – FISE

一方で女子カテゴリーの前に行われた男子エリートクラス決勝は、参加選手60名の中から前日の予選と準決勝を勝ち上がった上位12名にてよって争われた。今回は日本のエースの中村輪夢が翌週のオリンピック予選シリーズ(OQS)を見越してか不在となった中で、同大会へ出場が決まっている溝垣丈司、そして先日の「マイナビJapan Cup」で優勝した小澤楓が決勝へ進出した。なお最年少での出場となった松本翔海は、惜しくも予選敗退となり27位で自身初のワールドカップを終えて決勝進出とはならなかった。 

本決勝では小澤と溝垣が世界ランク3位で地元フランスのアントニー・ジャンジャンをはじめとした海外のトップ選手たちと表彰台を争う戦いとなった。先に出走した溝垣は彼だけのスタイルが光るライディングを見せる。ラン1本目では「360・テールウィップ to トボガン」や「360・クアッドバースピン」をメイクするも、「360・ダブルテールウィップ 」の着地で脚を取られ転倒してスコアを伸ばせずにいたが、2本目ではお洒落な「クランクフリップ」でランを始めると、1本目のミスした「360・ダブルテールウィップ 」をカバーし、途中では「フットジャム」などスタイルを加えて、最後は得意のフェイキーを生かした「バースピン to フェイキー」でランを終え74.25ptをマークし11位となった。

小澤はラン1本目は「バックフリップ・トリプルバースピン」や「アリウープ・ダウンサイドテールウィップ」など良い流れでライディングを進めていくが、「360・バースピン to テールウィップ」で足を着いて失敗したことでスコアを66ptとする。ラン2本目ではしっかり1本目のミスを補うライディングを見せ「360・バースピン to テールウィップ」を決め切ると、その後も「フレア」もメイクするなど丁寧にランをまとめて75.75ptを獲得して10位で大会を終えた。

今回は中村輪夢をはじめ、男女共にオリンピック予選シリーズ(OQS)へ出場する選手が不在となった大会ではあったものの、出場した日本人選手たちの中で過去最高成績を残す選手が多くいたことから、今後のワールドカップでの彼らのパフォーマンスが楽しみになる一戦となった。

その中でも弱冠14歳のワールドカップルーキーである小澤美晴の準優勝は快挙であり、2018年5月に大池水杜が成し遂げたフランス大会優勝以来の日本人選手の優勝を成し遂げるのも時間の問題だろう。今年はパリオリンピックはもちろんのことワールドカップでの日本人選手たちの活躍に注目だ。

表彰台選手コメント

小澤美晴©︎Japan Cycling Federation

小澤 美晴 選手(女子エリートクラス)

「2位という結果になり悔しいです。決勝1本目で転倒してしまったので、2本目は自分のベストを尽くそうと思って望みました。でもバックフリップテールウィップなど準備してきたのに出せなかった技が色々あります。日本に帰って練習して、 また次の大会に向けて頑張ります。応援ありがとうございました!」

大会結果

左から小澤、ペレス、パルドーの順
©︎Japan Cycling Federation

<女子エリート>
優勝: ローリー・ペレス(フランス) / 94.00pt
準優勝: 小澤 美晴 (オザワ・ミハル) / 93.00pt
第3位: サシャ・パルドー (イギリス) / 90.12pt
4位: 大池 水杜 (オオイケ・ミナト) / 83.82pt
5位: 杉尾 咲空 (スギオ・サクラ) / 83.00pt
10位: 内藤 寧々 (ナイトウ・ネネ) / 64.00pt

<男子エリート>
優勝: アントニー・ジャンジャン (フランス) / 92.50pt
準優勝: ブランドン・ルーポス (オーストラリア) / 91.32pt
第3位: デクラン・ブルックス (イギリス) / 89.87pt
10位: 小澤 楓 (オザワ・カエデ) / 75.75pt
11位: 溝垣 丈司 (ミゾガキ・ジョージ) / 74.25pt
27位: 松本翔海 (マツモト・ショア) ※予選順位 

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